中ロが関係するコネクテッドカーの米国輸入・販売禁止規則案、外国政府や企業などから多くの要望
(米国、中国、ロシア、メキシコ)
ニューヨーク発
2024年10月31日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月28日、中国とロシアが関係するコネクテッドカーなどの輸入または販売を禁止する「コネクテッドカーにおける無料 カジノ ゲーム通信技術サービス(ICTS)サプライチエーンの保護」の規則案(NPR)に対するパブリックコメントを締め切った(2024年9月24日記事参照)。自動車メーカーや外国政府を含む154の団体、企業、個人などからコメントが寄せられた。
NPRでは、車両接続システム(VCS)ハードウエア、VCSまたは自動運転システム(ADS)のソフトウエア(対象ソフトウエア)が、中国またはロシアが所有、管理する、または管轄下あるいは指示下にある人物によって、設計、開発、製造、または供給される場合に、次の行為の禁止を提案している。
- 輸入業者による特定VCSハードウエアの米国への輸入
- 製造業者による VCS または ADS 機能をサポートする特定ソフトウエアを組み込んだコネクテッドカーの米国への輸入
- 製造業者による対象ソフトウエアを組み込んだコネクテッドカーの米国内での販売
- 中国またはロシアが所有、管理する、または管轄下あるいは指示下にあるコネクテッドカーの製造業者による、VCS ハードウエアまたは対象ソフトウエアを組み込んだコネクテッドカーの米国での販売
企業からのコメントでは、対象製品の定義の明確化や、適用までの猶予期間の設定、「中国またはロシアが所有、管理する、または管轄下あるいは指示下にある人物」の定義を求めるものが多くみられた。例えば自動車メーカーでは、ホンダがハードウエアとソフトウエアの対象範囲を明確にするため、NPRではいずれも車両接続システムなどの機能を「サポートする」ものと定義しているところ、「直接有効にする」ものに限定するよう提案。またフォードは、リスクが低いワイパ部分のような非電気部品を除外するよう提案するなど、対象範囲を狭める要請も挙がっている。さらに、日本自動車工業会(JAMA)が段階的な禁止措置の導入を提示したほか、ホンダも規制の適用開始日を、NPRの提案より2年遅らせるべきなど、時間軸の見直しを求めた(注)。
また、メキシコ政府は、NPRの対象製品として、米国に輸出されるメキシコ製の車両も該当する可能性があるとし「貿易障壁やサプライチエーンの混乱、生産コストの上昇、直接的および間接的な雇用の減少のリスクを引き起こし、メキシコの自動車産業に多大な影響を及ぼす可能性がある」と述べたほか、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)との矛盾を指摘した。規制の対象となる中国からは、中国自動車工業協会(CAAM)が、「中国企業に対する一方的な差別だ」と述べ、「技術的な問題を政治化したり、セキュリティーリスクを誇張したりすべきではない。双方のコミュニケーションと協力は、ウィンウィンのため必要な基礎である」と、中国に対する禁止事項を削除するよう求めている。
(注)NPRでは、ソフトウエアは2027年モデルから、ハードウエアは2030年モデルから、モデル年のないものに対しては2029年1月1日からの適用が提案されている。
(大原典子)
(米国、中国、ロシア、メキシコ)
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