米シンクタンク、大統領選の投開票制度の信頼性強調

(米国)

ニューヨーク発

2024年10月29日

米国シンクタンクのブルッキングス研究所は10月28日、大統領選挙の投開票制度の信頼性をテーマにしたパネルディスカッションを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同研究所のノーマン・アイゼン氏が司会を務め、同研究所のイレイン・ケイマーク氏、公民権弁護士委員会のエズラ・ローゼンバーグ氏、「ワシントン・ポスト」紙のジェニファー・ルービン氏、弁護士のベンジャミン・ギンズバーグ氏が参加した。

ローゼンバーグ氏は、全米各地で行われる大統領選の投開票制度改革を巡る訴訟(2024年10月29日記事参照)に関して、「投票権を有するにもかかわらず、故意または過失によって投票権を否定されかねない人々が何千人もいることこそが選挙の公平性に対する脅威だ」と提起した。同氏は、これら特定グループを選挙人名簿から排除するような試みはこれまで裁判所で棄却されていると述べ、ギンズバーグ氏も、選挙制度のあらゆる部分にチェック・アンド・バランスの機能が存在していると指摘した。ケイマーク氏は、開票時には民主党と共和党の代表者が立ち会っているとの具体例を挙げたほか、ルービン氏は「投票結果を正確に記録、集計、集約、確認することは驚くほどうまく運営されており、われわれはそのことを忘れてはならない」と述べ、現在の投開票制度への信頼を強調した。

一方で、ギンズバーグ氏は、有権者が投開票制度を信頼できないと認識していることは大きな問題だと提起し、「人々が選挙結果を信頼しなければ、選挙で誰が勝利しても、その人物が効果的に国を統治することはほぼ不可能だ」と述べた。

トランプ氏が敗北認めないシナリオも

前回2020年大統領選では、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が投開票の「不正行為」を理由に敗北を認めず、2021年1月に同氏支持者が連邦議会議事堂を襲撃する事件が発生した。11月5日に行われる今回の大統領選でも、仮にトランプ氏が敗北した場合、同氏が敗北を認めない可能性も指摘されている。米国調査会社ピュー・リサーチ・センターは10月10日、各候補者が選挙で敗北した場合の対応に関する世論調査の結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。それによると、回答者の72%が、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が敗北した場合、同氏は結果を受け入れるだろうと回答した一方で、トランプ氏が敗北した場合、同氏が敗北を認めるだろうと答えたのは回答者の24%にとどまった。

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(注)調査期間は9月30日~10月6日、調査対象者は米国の成人5,689人。

(葛西泰介)

(米国)

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