米連邦地裁、バージニア州の有権者名簿一部抹消を差し止め、全米各地で訴訟広がる

(米国)

ニューヨーク発

2024年10月29日

米国司法省は10月25日、バージニア州東部地区連邦地方裁判所が同州の有権者名簿から一部を抹消する同州の制度を差し止める決定をしたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バージニア州のグレン・ヤンキン知事(共和党)は2024年8月7日、選挙権がないとみなされる個人を有権者名簿から抹消するなど、投開票制度改革に関する行政命令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表していた。司法省は10月11日、同制度が、全米規模で行われる選挙の投開票日の90日前以降に選挙権がないとみなされる有権者を有権者名簿から組織的に抹消する制度を禁止する1993年全米有権者登録法(NVRA)に違反するとして、同州や同州選挙管理委員会などを相手取り、バージニア州東部地区連邦地裁に提訴外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

今回の連邦地裁の決定を受けて、同州は大統領選や連邦議会選の投開票が行われる11月5日までの間、有権者名簿の抹消作業を停止するとともに、有権者名簿から抹消された有権者は本人が抹消を希望した場合や、そのほかの理由で削除が適切な場合を除き、有権者名簿に再登録することが義務付けられる。

米国議会専門誌「ザ・ヒル」(10月28日)によると、連邦地裁の決定を受け、同州は第二審に当たる第4巡回区連邦控訴裁に控訴したが、連邦控訴裁は10月27日に連邦地裁の決定を支持した。連邦控訴裁の判断を受けて、同州は最終審に当たる連邦最高裁に上訴した。

米国では、バージニア州と同様、全米各地で有権者管理の厳格化、郵便投票や在外投票の制限、手作業集計の義務化などの投開票制度改革を巡る訴訟が起こされている。米国メディアNBCニュース(10月23日)によると、大統領選の激戦州とされる7州(注)だけでも、2024年1月以降の訴訟件数は96件に上り、主に投開票の「不正行為」是正を求める共和党側と、投票機会の選択肢確保などを求める民主党側が対立する構図となっている。わずかな票差が勝敗を左右することも予測される中で、これら訴訟の結果にも注目が集まる。

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(注)ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ノースカロライナ州、ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州(ジェトロの米国大統領選の仕組み参照PDFファイル(642KB))。

(葛西泰介)

(米国)

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