カナダ政府が2025年の移民計画発表、受け入れ数約2割削減へ
(カナダ)
トロント発
2024年10月31日
カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は10月24日、2025~2027年の移民受け入れ計画を発表した。住宅や社会サービスなどの逼迫状況の緩和のため、移民の受け入れ数を抑制する方針を明らかにした。今後3年間の受け入れ数は、2025年39万5,000人、2026年38万人、2027年36万5,000人に設定され、これまでの計画値50万人と比較し、2025年は約2割減となる。
カナダでは新型コロナウイルス禍後の復興や、早期の景気回復と労働力強化に向けて優秀な人材を迅速に受け入れる方針がとられてきた。本発表は、受け入れによって急増した人口を短期的に抑制し、人口バランスの適正化を図る目的としている。抑制の対象には一時滞在者の数も含まれており、留学生や外国人労働者などの数も、人口の6.5%から2026年までに5%まで引き下げられる方針だ。カナダの人口は近年、急速に増加し、2023年6月に4,000万人を突破(関連ブラック ジャック アプリ)、2024年4月には4,100万人に達した。2023年の人口増加分の約98%を移民が占め、うち60%は一時滞在者だった。カナダ政府は、移民数の圧縮により、住宅市場への圧力の緩和と需給バランスの回復、1人当たりGDP成長率の加速、失業率の低下を期待している。
マーク・ミラーIRCC相は「本計画はカナダの移民ニーズに対応するための次のステップだ。経済が移民を必要としている一方で、国が直面している圧力を認識し、政策を適応させなければならない。新計画により、移民が国にとって有益になり、全ての人が質の高い仕事や住居、社会支援を受けられるようになる」とコメントした。
カナダ商工会議所のダイアナ・パルメリンベラスコ未来の労働シニアディレクターは「最近の移民政策の急激な変更に対して、労働力の供給や経済成長に与える影響を懸念する企業が増えている」と述べ、経済に大きく貢献する高度人材への配慮を政府に求めている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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