カナダの推計人口、4,000万人を突破
(カナダ)
トロント発
2023年06月26日
カナダ統計局は6月15日、カナダの総人口が同局の推計で翌16日に4,000万人を超えると発表した。現在、カナダの人口は1950年代のベビーブーム以来の高い増加率となっており、その大部分は移民の流入によるものとみられている。
今回発表されたデータは、統計局が四半期ごとに発表している人口推計をリアルタイムに換算した「人口時計」と呼ばれるシミュレーションによるもので、4,000万人に達したのはカナダ東部夏時間の6月16日午後3時ごろとされている。
同局の推計によると、2022年のカナダの人口増加率は年率2.7%とG7諸国で最も高く、カナダのベビーブームがピークに達した1957年(年率3.3%)以来の高い人口増加率となっている。ただし、1957年の人口増加の要因が移民とベビーブームだったのに対し、2022年の人口増加の要因はもっぱら移民の流入によるという。現在の規模で移民流入が続く場合、2043年までにカナダの人口は5,000万人に達するとされている。
現在のカナダ政府は積極的な移民受け入れ政策を取っており、2022年11月には、向こう3年間で年間46万~50万人の移民を受け入れる計画を発表している()。大規模な移民の受け入れは、高齢化による労働力不足の解決と高度人材の流入による経済の活性化につながると期待される一方で、大都市における住宅不足など、人口増に伴う社会問題解決の必要性が叫ばれている(CBCニュース2023年6月17日)。
なお、カナダでは、国勢調査が5年に一度行われるが、今回の発表の元となっている人口推計とは数字に乖離がある。2021年5月に行われた前回の国勢調査では、カナダの総人口は3,699万1,981人だったのに対し、同時期の人口推計では3,820万1,103人と、約120万人の差があった。これについて統計局は、国勢調査では調査票の配布が難しい人(同じ建物に住む別世帯、寮や下宿に住む学生など)がいるなど、仕組み上正確な把握が困難な部分があるが、人口推計ではそれを加味するため乖離が生まれると説明している。
(斎藤健史)
(カナダ)
ビジネス短信 4894e0b2cf086b84