夏時間の再導入見送りを決定
(ブラジル)
サンパウロ発
2024年10月18日
ブラジル政府は10月16日、2024年の夏季シーズンの夏時間の導入を見送る決定をした。同国では近年、水力発電への依存度が高まる一方、干ばつによる電力供給不足や電気料金の高騰が社会問題となっていたため、夏時間の再導入による省エネ効果が検討されていた。こうした中、アレシャンドレ・シルベイラ鉱山エネルギー相は同日、水力発電所の流量削減の取り組みによって貯水池の指標が安定したため、仮に夏時間を導入しても消費者への費用対効果は低いと判断し、再導入を見送ることを発表した。
科学技術革新省の国家自然災害モニタリング・警報センター(CEMADEN)の指数によると、ブラジルは2024年、国内で1950年に最初の雨量測定が行われて以降最大の干ばつに見舞われ、水不足による電力不足が深刻化していた。これを受け、ブラジル全国電力系統運用者(ONS)は、夏時間導入によって電力消費量のピークを分散させ、電力不足のリスクを軽減できると試算し、政府に再導入を提言し、政府も9月以降、夏時間導入の検討を重ねていた(参照)。
シルベイラ鉱山エネルギー相は見送りの判断理由として、夏時間導入の費用対効果のピークは10月~12月中旬のため、準備期間を考慮すると仮に導入できても11月中旬ごろとなり、効果は限定的だと指摘。その上で、電力セクターの専門家や電力セクター監視委員会との議論を経て、今回の決定に至ったことを明らかにした。シルベイラ鉱山エネルギー相は、夏時間導入のメリットとデメリットを今後あらためて精査し、2025年に引き続き夏時間制度についての議論を深める必要性を強調した。
ブラジルでは、夏時間は1931年から2019年まで断続的に実施されてきた。
(中山貴弘)
(ブラジル)
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