バルニエ・フランス新首相、施政方針演説で増税案を発表
(フランス)
パリ発
2024年10月04日
フランスのミシェル・バルニエ新首相は10月1日、下院で施政方針演説(プレスリリース、フランス語)を行った。新政権の優先課題として財政再建や移民政策などを掲げる一方、具体的な詳しい内容への言及は避けた。
財政運営について、首相は「2025年に財政赤字をGDPの5%に戻し、2029年には3%未満にする」という目標を掲げた。財政再建に必要な600億ユーロのうち3分の2は歳出削減(約400億ユーロ)、3分の1は増税(約200億ユーロ)を組み合わせて対応するとし、期限付きで大企業と富裕層に増税を求める考えを明らかにした。
首相は政策上の優先課題として、国民の生活水準の向上や、教育・医療分野の質のよい公共サービスへのアクセス改善、治安対策、移民政策、友愛の5つを挙げ、これらの課題について、幾つかの施政を発表した。
生活水準の向上については、11月1日付で法定最低賃金(SMIC)を2%引き上げるほか、初めて住宅を購入する人向けの無利子融資制度(PTZ)の適用条件の緩和などを予告した。野党勢力が求める年金制度改革については、「公正で合理的な調整」を検討するとともに、高齢者の雇用や失業給付制度について、数週間以内に労使協議を開始することを約束した。
移民政策については、イデオロギー的な論争を避け、実用的な方法で移民問題に取り組むべきだとして、亡命申請処理を改善し、不法移民の拘留期間を延長して強制送還の実施を徹底するほか、国境管理を強化し、移民・難民に対する協定を通じてEUとの連携を強める方針を示した。
中道と右派政党が連立を組むバルニエ政権は下院で過半数に達せず(2024年9月25日記事参照)、左派連合「新民衆戦線(NFP)」が提出を計画している内閣不信任案の成立を避けるには、極右「国民連合(RN)」が不信任案に賛成票を投じないことがカギとなる。RNを率いるマリーヌ・ルペン氏は同日、同党が不信任案に賛同しない条件として、移民規制強化、低所得世帯向け家計支援、選挙に比例代表制を導入する制度改革の実施を求めた。
(山崎あき)
(フランス)
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