マレーシアのゴム手袋大手スーパーマックス、2025年から米国で商業生産開始

(マレーシア、米国)

クアラルンプール発

2024年09月24日

マレーシアのゴム手袋製造大手スーパーマックス・コーポレーションは9月17日、米国テキサス州ブラゾリア郡の工場で、2025年1月までに商業生産を開始すると発表した(マレーシア証券取引所ウェブサイト内プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。マレーシア企業が米国でゴム手袋の製造拠点を設けるのは初めて。現地報道を引用したマレーシア投資開発庁(MIDA)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、投資額は3億5,000万ドルと推計される(注1)。スーパーマックスは、1987年にゴム手袋の貿易会社として設立され、1989年に生産を開始した。現在の生産能力は年間約210億双で、総売り上げのうち約29%が米国向けと報じられている。

スーパーマックスの完全子会社で、米国医療製造者協会(AMMA)にも所属するマクスター・ヘルスケアは、2024年12月に最初の生産ラインを稼働させて試運転を開始する予定だ。2025年1月までに商業生産に入り、同年は最大24億双を製造。第4四半期(10~12月)までに生産能力を2倍の48億双まで増強する。さらに2年以内に、世界の需給状況も加味しながら、第2期の生産体制に入る。テキサス州の製造棟と倉庫兼配送センターは2023年12月に完成し、製造設備の設置と工場の試運転のため、マレーシアから技術チームを派遣している。

スタンレー・タイ創業者兼会長は「米国工場は、デジタル制御や完全自動化を特徴とした『スマート製造』プロセスを導入した」と説明し、人工知能(AI)や自動化、ロボット工学などの最新技術を活用することで、工場労働者への依存を抑制するという。

現地生産による関税措置回避にも期待

同社はまた、米国通商代表部(USTR)が9月13日に発表した中国からの医療用手袋輸入に対する関税引き上げ(米USTR、ブラック ジャック)がマクスター・ヘルスケアのように米国に拠点を有する製造業者にとって有利に働くとの見解を示した。なお、スーパーマックス製の使い捨て手袋は2023年9月まで、米国の違反商品保留命令(WRO)の対象になっていた(関連ブラック ジャック ディーラー)。

9月17日付「エッジ」によると、USTRの発表を受け、全てのゴム手袋メーカーの株価が値上がりした。直近にはエムポックスの発症例(注2)があったことも加わり、マレーシア証券取引所のヘルスケア指数は同日に10%以上高騰した。スーパーマックスの株価も17.7%上昇し、時価総額は25億3,000万リンギ(約860億2,000万円、1リンギ=約34円)に到達した。

(注1)なお、2023年のマレーシアから米国への対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は33億リンギ(約1,122億円、1リンギ=約34円)、総額に占める構成比は8.1%にとどまった。

(注2)マレーシア保健省は9月17日、過去3週間渡航歴のない男性がエムポックス「クレードII」に感染していたと発表した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、米国)

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