米税関、マレーシア企業の使い捨て用手袋の輸入を許可、強制労働に対処
(米国、マレーシア)
ニューヨーク発
2023年09月22日
米国税関・国境警備局(CBP)は9月18日、マレーシア企業のスーパーマックスとその子会社が生産した使い捨て用手袋の輸入を差し止める違反商品保留命令(WRO)を撤回した。これにより、同社の使い捨て用手袋は同日以降、米国への輸入が再び認められるようになった。
WROは、強制労働を使用して生産された製品の輸入を禁じる1930年関税法307条に基づいて発令される(注1)。CBPは2021年10月、スーパーマックスの製造現場でILOの強制労働指標に該当する状況を確認したとして、同社の使い捨て用手袋に対するWROを出していた(2021年10月22日記事参照)。CBPは今回、同社がWROに対応し、自社のサプライチェーンで確認された強制労働指標に該当する状況を是正する措置を取ったことを証明したため、WROの撤回を決定した。
CBPが関税法307条に基づくWROや強制労働の認定を撤回するのは、2023年に入って4件目で、いずれもマレーシア企業が対象だ(2023年4月28日記事参照)。また、CBPは2021年以降、マレーシア企業の使い捨て用手袋に対するWROを4件発表しているが、スーパーマックスに対するWROが撤回されたことで、そのうち3件が解決したことになる。同国のブライトウェイを対象とするWROは現在も有効となっている(2021年12月21日記事参照、注2)。
(注1)関税法307条で、強制労働は「ある者が不履行に対する罰則の脅威の下で強要され、かつその労働者が自発的に提供しない一切の仕事またはサービス」と定義されている。米国の人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、ジェトロ調査レポート「」「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」を参照。
(注2)なお、マレーシア企業に対しては、使い捨て手袋のほか、FGVホールディングスなどのパーム油に対するWROが1件有効となっている。
(甲斐野裕之)
(米国、マレーシア)
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