米商務省、半導体労働力開発に2億5,000万ドル拠出を発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年09月26日
米国商務省は9月25日、半導体産業の労働力開発事業「ワークフォース・センター・オブ・エクセレンス(WCoE)」の立ち上げを発表した。
バイデン政権は米国半導体産業の振興を目的に、2022年8月にCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)を成立させた。同法では、国内で半導体製造施設や製造装置・素材関連施設の建設や拡張などの投資を行う企業・団体に対して、390億ドルの資金援助を行うほか、半導体産業の研究開発を行う企業・団体に、110億ドルの資金援助を行うことなどを規定している。
商務省によると、バイデン政権発足以降に米国半導体産業に対して、4,000億ドル以上の民間投資が発表された。商務省はこれら民間投資に対し、これまでにCHIPSプラス法に基づいて半導体製造施設などに360億ドル以上、研究開発に10億ドル以上の資金援助計画を発表しており、全米で新規に11万5,000人以上の雇用が創出される見込みだとしている(注1)。一方で、商務省は、米国半導体産業が直面する最も差し迫った問題の1つが労働力不足だとして、今回立ち上げたWCoEが問題解決に向けた「決定的な一歩になる」としている。
具体的には、商務省がCHIPSプラス法に基づく研究開発事業を主導する国立半導体技術センター(NSTC、)の下で、WCoEに今後10年間で2億5,000万ドルを拠出する。商務省は今後、WCoEを通じて、半導体企業やコミュニティーカレッジなどの利害関係者と協働し、労働力問題の解決に向けたベストプラクティスの短期積み上げ、質の高い雇用の推進、次世代半導体技術者の採用と育成強化などを目指すとしている。
大学などにも1,150万ドルの資金援助を発表
また、商務省はWCoEの発足と併せて、NSTCのワークフォース・パートナー・アライアンス(WFPA)プログラムを通じて、米国のテキサスA&M大学や、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの7機関(注2)に、1,150万ドル以上の資金援助を行うと発表した。資金援助を通じて1万2,000人以上に実地訓練などを提供し、半導体産業での長期的なキャリア形成を支援する。
(注1)半導体製造施設などに対する資金援助の最新事例は米商務省、ブラック ジャック。
(注2)資金援助先の7機関や各事業内容などの詳細は、商務省発表資料(本文冒頭にリンクあり)下部を参照。
(葛西泰介)
(米国)
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