米商務省が国立半導体技術センターのビジョンと戦略を発表、各地に提携先となるテクニカルセンター設立へ

(米国)

米州課

2023年05月09日

米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は4月25日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく半導体研究開発プログラムで中核的な役割を果たす予定の国立半導体技術センター(NSTC)に関して、「NSTCのビジョンと戦略」と題する文書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

CHIPSプラス法は、半導体の研究開発に110億ドルを支出する予定で(米商務省、ブラック ジャック)、官民コンソーシアムのNSTCが、先端半導体分野の産業育成を図るイノベーション・ハブとなる。商務省は本文書の中で、NSTCについて以下3つの目標を掲げている。

  1. 半導体技術の分野で、米国のリーダーシップを拡大すること。米国内で最新の半導体技術を設計、試作、試験することで、将来のアプリケーションや産業の基盤を提供し、国内の半導体製造エコシステムを強化する。
  2. 設計のアイデアから商用化までの時間とコストを削減すること。NSTCは、半導体と関連製品の設計、試作、製造、パッケージング、スケーリングのための共有施設と専門知識を活用しながら、米国のイノベーターに経済と国家安全保障の促進に資する重要な能力を提供する。
  3. 半導体の人材育成のエコシステムを構築し、維持すること。NSTCは、科学者、エンジニア、技術者などの技術労働力を増やすための調整機関およびセンター・オブ・エクセレンス(注1)として機能する。NSTCの人材育成プログラムは、半導体エコシステムに必要な人材の採用、訓練、再教育の拡大を支援する。

また、NSTCは学術界や産業界の関係者と協力し、全米各地に提携先となるテクニカルセンターを設立する予定だ。各地の研究開発を拡張・改修したり、高度な施設を新設したりすることで、これを実現する。ジーナ・レモンド商務長官は「最も重要なことに、NSTCは、米国が次世代半導体技術を主導し、経済と国家安全保障を促進する新たな進歩を可能にすることを保証する。CHIPSプラス法の製造インセンティブが半導体の製造を米国に回帰させ、NSTCが主導する強固な研究開発エコシステムが半導体の製造を米国にとどめるだろう」と述べた。

なお、CHIPSプラス法に基づく資金援助プログラム(CHIPSプログラム、注2)に関しては、4月14日時点で、200を超える関心表明(Statement of Interest:SOI)が提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。

(注1)組織横断的な取り組みを実施する際に、中核となる研究拠点。

(注2)申請は3段階に分かれている。第1弾は半導体製造施設の建設・拡張・現代化、第2弾は材料と製造装置施設、第3弾は研究開発施設が対象。第1弾の申請は2023年3月31日に開始され、第2弾は今春後半、第3弾は今秋に予定されている(米商務省、ブラック ジャック)。SOIは2023年2月28日以降、第2弾または第3弾の資金援助対象であっても、提出可能。

(片岡一生)

(米国)

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