一部加工食品で塩分と飽和脂肪酸の含有量表示を義務化へ、国民の健康対策で
(シンガポール)
シンガポール発
2024年08月26日
シンガポール保健省は8月22日、一部加工食品に含むナトリウムと飽和脂肪酸の含有量について、砂糖と同様の栄養分表示(Nutri-Grade)を義務化する方針を発表した。栄養分表示の義務の対象を拡大することで、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の予防を強化する。表示義務の詳細については、業界関係者から意見を収集した上で後日発表する予定だ。
同省によると、栄養分表示が義務付けられるのは、小売店で販売される加工食品の中でもナトリウムと飽和脂肪酸の含有量が高い、(1)包装済み食塩、(2)ソース、(3)調味料、(4)インスタント麺、(5)食用油の5種類となる。同省は栄養分表示により、消費者がより健康的な食品を選べるよう支援するとともに、産業の再編や広告の影響軽減をはかりたい考えだ。
同国では現在、小売店や自動販売機、飲食店などで販売される甘味飲料について、糖分と飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分表示を義務付けている。表示は、糖分が100ミリリットル当たり1グラム以下(飽和脂肪酸同0.7グラム)と最も少ない「A」から、糖分が同10グラム以上(飽和脂肪酸同2.8グラム以上)と最も多い「D」まで、4段階のグレードに分けている(注)。CとDは表示が義務付けられ、AとBについては表示が任意となる。また、D表示の飲料の広告は禁止されている。
オン・イエクン保健相は2023年9月、塩分摂取抑制に向けた規制の導入を検討すると言及していた(2024年1月10日記事参照)。保健省によると、同国民の1人当たりのナトリウムの摂取量は、1日当たりの推奨上限(2,000ミリグラム)を超える3,620ミリグラムだ。保健省と同省管轄下にある健康促進庁(HPB)は2024年4~5月、食品関連の企業の代表者80人以上と、ナトリウムと飽和脂肪酸の摂取抑制に向けた新たな規制について話し合いを行った。同省とHPBは既存の糖分の栄養分表示義務制度の大枠を維持した上で、具体的な導入方法など詳細を業界関係者との意見を踏まえて決定する方針だ。
(注)糖分・飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分表示の詳細は政府の健康ブラック ジャック ストラテジーサイト「ヘルスハブ」を参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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