飲食品の砂糖、塩分量への規制広まる
(シンガポール)
シンガポール発
2024年01月10日
シンガポール保健省は12月30日から、飲食店やホテルなどで提供する甘味飲料について、糖分・飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分(Nutri-Grade)表示を義務付けた(12月29日保健省リリース)。また、同省は現在、食品に含まれる塩分含有量の規制も検討しており、糖尿病や高血圧など慢性疾患の予防対策を強化している。
栄養分表示は、糖分が100ミリリットル当たり1グラム以下(飽和脂肪酸同0.7グラム)と最も少ない「A」から、糖分が同10グラム以上(飽和脂肪酸同2.8グラム以上)と最も多い「D」まで、4段階のグレードに分けたものだ(注1)。CとDは表示が義務付けられ、AとBについては表示が任意となる。なお、D表示の飲料の広告は禁じられている。
同省は国民の糖分摂取を抑制するために、2022年12月30日から、小売店で販売するパッケージ甘味飲料や自動販売機で購入可能な飲料について、栄養分表示を義務付けていた。2023年12月30日からは、飲食店やケータリング施設、電子商取引(EC)サイトなどに加え、ホテル、職場、教育施設などで提供する飲料も栄養分表示義務の対象とした。さらに、タピオカボールなどの糖分が含まれるトッピングについても、栄養分の表示を義務付けた(注2)。
同省が2020年3月に栄養分表示義務を導入する方針を発表して以降、食品各社は飲料の糖分含有量の調整を開始している。この結果、パッケージ甘味飲料の糖分含有量は2017年の7.1%(中央値)から2021年に4.6%に低下した。国内市場で販売されているパッケージ飲料の約3分の2が現在(2023年9月時点)、AまたはB表示だ。
国民の塩分摂取量、2026年までに15%削減へ
また、同省は食品に含まれる塩分抑制にも取り組む方針だ。オン・イエクン保健相は2023年9月27日、塩分抑制に向けた規制の導入を検討する必要があると述べた。同省は国民の塩分摂取量を2022年の1日当たり3,600ミリグラムから、2026年に3,100ミリグラムへ約14%減らす目標を設定している。
2022年国民調査(2023年9月27日発表)によると、国民(永住権者を含む18~74歳)に占める高血圧症の割合は、2010年の19.8%から2019~2020年に35.5%、2021~2022年に37.0%とへと拡大した。
(注1)糖分・飽和脂肪酸の含有量を示した栄養分表示の詳細は政府の健康ギャンブル ゲーム 無料サイト「ヘルスハブ」を参照。
(注2)飲料品やメニューなどの栄養分表示の詳細は保健省の発表を参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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