ビリヤエナジー、国内初のグリーン水素製造施設建設の最終投資計画を決定

(ベルギー)

ブリュッセル発

2024年08月02日

ベルギーのエネルギー開発大手のビリヤエナジー(注1)は7月25日、産業用ガス大手メッサーなどと共同で、国内初となるグリーン水素の製造施設建設に向けた最終投資決定を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。同施設はベルギー北西部のゼーブルージュ(アントワープ・ブリュージュ港内)に建設される予定で、2026年に水素の製造開始が見込まれる。25メガワット(MW)の電解槽を備え、年間2万5,000トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献する。2020年に開始された同プロジェクトは「ハイオフウインド(Hyoffwind)」と呼ばれ、EUの復興基金「次世代のEU」とフランダース政府(注2)からの3,000万ユーロの資金を活用している。

同プロジェクトには、ベルギーのフラクシーズ(エネルギーインフラ)、ジョンコックリル(機械エンジニアリング)、ベシックス(建設)なども参加し、再生可能エネルギーの回収から、グリーン水素の製造・販売まで、コンソーシアムとしてバリューチェーン全体をカバーし、特にモビリティーと産業向けの利活用が想定されている。

建設される製造施設は100MWまで拡張可能で、北欧から西欧までの生産拠点と工業地帯を結ぶ、水素ネットワークの戦略的構成要素になると目されている。

ベルギーでは、連邦政府が水素戦略を定め、水素インフラ整備プロジェクト(連邦政府、水素インフラ整備プロ21)を進めている。フランダース政府も独自の2025~2030年の水素戦略を策定し、港湾や工業地帯に2025年までに200 MW、2030年までに500MWの電解槽の整備を目指している。

(注1)大手小売りコルホイト・グループ傘下で、複数の再生可能エネルギー事業者を傘下に持つ。

(注2)ベルギーは連邦制で、経済政策はフランダース(北部)、ワロン(南部)、ブリュッセル首都圏の各地域政府が管轄している。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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