日系企業の2024年の賃金は前年比9.9%増

(ハンガリー、日本)

ブダペスト発

2024年08月28日

ジェトロは、ハンガリーに進出している日系企業に対して、2024年の賃金や人材確保状況、高インフレ率に伴う支援制度などに関するアンケート調査(期間:6月24日~7月30日)を実施し、34社(製造業21社、非製造業13社)から回答を得た。

それによると、賃金の平均上昇率は前年比9.9%で、2023年の同13.7%からはペースが落ちたものの、いまだ上昇が続いている。事業形態別では、製造業は従業員300人超の企業で12.3%、300人以下の企業で9.6%、非製造業は9.2%だった。2023年の平均上昇率についても尋ねたところ、製造業は従業員300人超の企業で15.1%、300人以下の企業で13.5%、非製造業は13.1%だった。

現地報道によると、ハンガリーの企業における2024年の高い賃金上昇率は、次の要因が影響しているとみられている。

  • 最低賃金の改定〔2023年12月から実施。月額最低賃金は15%増、熟練労働者(高校卒業以上の資格者)については10%増〕(2023年11月17日記事参照)。
  • 過去2年間(2022年と2023年)の高インフレ(生活水準の低下が労働者の不満を高め、離職率の増加を招いた)
  • 労働市場の逼迫(いまだ労働力不足が解消されておらず、労働者側の交渉力が優位)

300人超の従業員を抱える日系製造業の職制ごとの月額平均賃金(グロス)をみると、セクションマネジャー(課長クラス)が130万4,500フォリント(約52万1,800円、1フォリント=約0.4円、8月23日ハンガリー国立銀行為替レート)、エンジニアが98万1,500フォリント、営業職が87万3,333フォリント、事務職が83万5,000フォリント、オペレーターが51万162フォリントだった。

賞与については、平均で1.2カ月分が支給されている。製造業は従業員300人超の企業で1.4カ月分、300人以下の企業で1.0カ月分、非製造業は1.4カ月分となっている。

従業員に支給しているフリンジベネフィット(付加的手当)についても尋ねた(複数回答可)。セーチェニカード(注)は24社(回答企業の70.6%)、乗用車通勤補助は19社(55.9%)、現金補助は8社(23.5%)、社員食堂補助は6社(17.6%)が支給している。

(注)宿泊施設やレストラン、娯楽施設などで使える電子バウチャー。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、日本)

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