IMF融資の2回目のレビュー完了、外貨準備高見通しなど発表
(バングラデシュ)
ダッカ発
2024年07月05日
IMF理事会は6月24日、バングラデシュ政府に対する総額47億ドル(期間42カ月)の拡大クレジットファシリティー(Extended Credit Facility:ECF)などによる融資()に係る第2回公式審査の完了を発表した。審査の完了は同融資の3回目の払い込み(約11億4,800億ドル、注1)の承認を意味し、これによって累計約22億9,500万ドル(総融資額の約49%)の払い込みが実行される。
IMF副専務理事のアントワネット・モンショー・セイエ氏は発表で「今回の審査により、外的な要因も含めて難しい環境下にもかかわらず、バングラデシュ政府は必要な政策措置や構造改革を確約しており、融資プログラムがおおむね順調に進行していることを確認した」と表明した。その上で「(短期的には)対外的な情勢変化に対するレジリエンス(回復力)の再構築とインフレの抑制に焦点を当てるべきだ」と述べた。例えば、政府が変動相場制への移行に向けて5月から講じている為替相場制度(2024年5月10日記事参照)は、IMFが歓迎する取り組みの1つと説明し、「その効果を確実にするため、変動相場制への定期的なレビューが重要となる。また、金融・財政政策の引き締めの継続によりインフレ抑制につながる」との見解を示した。対外的インフレ圧力が強まれば、さらなる金融政策の引き締めが必要になるとも指摘している。
レジリエンス構築にも欠かせない外貨準備高(GIR、注2)について、IMFは予測値として2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)末時点で233億ドル、翌年度末時点で321億ドルと、為替相場に係る(変動相場制への移行)措置により、2024/2025年度は緩やかに増加し、2025/2026年度には想定される輸入額の約3.1カ月分相当まで回復すると見込んでいる。
同発表ではさらに、輸出増を支える原材料などの輸入増や外貨準備高の減少圧力の低下により、実質GDP成長率は2023/2024年度の5.4%から翌年度に6.6%への回復を予測、インフレ率(年平均)は金融引き締めの効果と食品・消費財の国際的な価格水準低下により、2023/2024年度の9.4%から翌年度に7.2%まで低下するとの予測も発表した。
(注1)5月段階の換算レートでは、3回目の払い込み額が約11億5,200万ドル、累計が約23億1,010万ドル。
(注2)IMF基準に基づく最新(6月26日時点)のグロス値の外貨準備高(Gross International Reserves:GIR)は194億7,314万ドルと、おおむね横ばい傾向が続いていたが、直近1カ月間(5月29日時点との比較)で約7億5,100万ドル増加している。
(山田和則)
(バングラデシュ)
ビジネス短信 d6be4f3cbc81d431