日米イノベーションアワード、米スタンフォード大学で開催
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2024年07月25日
日米のスタートアップを表彰する「第14回日米イノベーションアワード・シンポジウム」が7月18日、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開催された。同アワードは北カリフォルニア・ジャパンソサエティ(JSNC)とスタンフォード大学米国アジア技術経営センターの共催で、300人以上が来場した。同シンポジウムでは、新興リーダー賞の2社とイノベーション・ショーケース企業5社が表彰される(注1)。
2024年の新興リーダー賞は、日本と米国のそれぞれ1社が受賞した。新興リーダー賞を受賞したアイスペース(本社:東京都)は、宇宙資源を活用することを目指し、小型のランダー(月着陸船)やローバー(月面探索車)を用いて、荷物を月まで輸送、データ収集、広告事業などを提供する。担当者によると、「今年の冬に日本でミッション1としてランダーを打ち上げ予定」とのこと(2024年3月29日記事参照)。
米国からは、航空モビリティのジョビー・アビエーション(本社:カリフォルニア州サンタクルーズ)が受賞した。同社は、商業用の電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を手掛け、パイロットと4人の乗客を最大時速200マイル(約322キロ)で150マイル輸送し、空中ライドシェアリングに配備する予定だという(2023年7月12日記事参照)。同社にはトヨタ自動車が出資して最大の外部株主となっており、担当者は、ジョビーは「テスラのようにすべての部品を1から開発し、トヨタのエンジニアたちと協力して多大な技術を学べた」と語った。
イノベーション・ショーケース企業には、AIメディカルサービス(本社:東京都、注2)、シタデルAI(本社:東京都、注3)、エッジコーティックス(本社:神奈川県、注4)、ヘリカルフュージョン(本社:東京都)、シンスペクティブ(本社:東京都)と、5社の日本企業が選出された。
ヘリカルフュージョンは、世界初の定常核融合炉の開発を目指している。同社の田口昂哉共同創業者兼代表によると、「核融合炉は二酸化炭素(CO2)を排出せず、また止める際はガスの元栓を止めるように止まるので、従来の原子力発電と異なり危険性が少ない」とのこと。さらに、「カジノ 無料 ゲームとUCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)のスカイデックが連携するグローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラムに参加したことが、大変役に立った」と述べた。
シンスペクティブは、独自の小型レーダー衛星を開発し、高頻度・高解像度の地球観測を可能にする。能登半島地震後に地面が隆起している様子を鮮明に映し出すことができるなど、災害や環境破壊などのリスク評価に使用されるという。
パネルセッションでは「ウーバーの日本市場参入」、エヌビディアによる「ゼロからの人工知能(AI)国家の構築」のテーマで活発な質疑応答が行われ、参加者の関心を引いた。
(注1)2023年度の新興リーダー賞には米国のスタートアップ2社、イノベーション・ショーケース企業には日本のスタートアップ4社と米国のスタートアップ1社が選定された(関連ブラック ジャック ランキング)。
(注2)AIメディカルサービスは、日本が最先端技術を持つ内視鏡医療のデータを用い、AIを利用して見逃しやすいがんの発見を助ける技術を開発した。
(注3)シタデルAIは、AIの間違えや劣化を未然に防ぐための検証と継続的なモニタリングができる環境を開発した。
(注4)エッジコーティックスは、生成AIに最適化された省電力、低価格のアクセラレータを開発している。
(松井美樹)
(米国、日本)
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