米ジョビーの「空飛ぶクルマ」量産試作機、連邦航空局が飛行試験を承認
(米国)
サンフランシスコ発
2023年07月12日
商業用の電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発する米国のジョビー・アビエーション(本社:カリフォルニア州サンタクルーズ)は6月28日、米国連邦航空局(FAA)から、カリフォルニア州マリーナで生産されたeVTOLの試験飛行を承認する航空機の特別耐空証明を取得したと発表した(注)。従来は手作業で作った試作品のみ試験飛行が認められていたが、今回の承認によって、生産ラインで量産した試作機の飛行試験が初めて認められたことになる。
同社は2023年中に航空機を数十機生産し、2025年の商業飛行開始を目指すとされている(ブルームバーグ6月28日)。同社のジョーベン・ベバート創業者兼最高経営責任者(CEO)は「今日の成果は、当社のプロセスと技術に対する長年の投資の集大成で、大規模生産に向けた大きな一歩となる」と述べた。このeVTOLは、ヘリコプターのように垂直に離陸し、小型飛行機のように飛行できるよう設計されており、1,000ポンド(約454キロ)の積載も可能だという。
さらに、同社は7月6日、航空機を商業用として認証するのに必要な5段階のプロセスのうち3段階目に相当する認証計画をFAAに提出したと発表した。この認証計画には、同社のeVTOLの全システム(フライトコントロール、エネルギー貯蔵・分配システム、推進システムなど)のハードウエアとソフトウエアの側面をカバーする約12項目の特定地域認証計画(ASCP)が含まれている。
試験飛行の承認を得たジョビーの試作機の生産や組み立て、生産ラインの設計には、トヨタ自動車が携わっている。ブルームバーグ(6月28日)によると、トヨタ自動車は2020年以降、同社に約4億ドルを投資し、約12%の株式を保有する最大の外部株主となっている。両社は2019年にパートナーシップを結び、エンジニアリングツールの設計や生産施設のレイアウトなど、航空機開発を支援する幅広いプロジェクトで協力してきた。ジョビーは7月1日に、トヨタからパワートレインやアクチュエーションの主要部品の提供を受ける長期契約の締結を発表し、トヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA)の小川哲男社長兼CEOが同社の取締役に就任するなど、両社の関係は強化されている。
(注)日本では、航空法に基づき、2022年10月に安全性などを示すeVTOLの型式証明を国土交通省に申請している(2022年10月25日記事参照)。
(濱真奈)
(米国)
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