陽性時の隔離と報告義務を撤廃、「新型コロナとの共生」ステージへ
(マレーシア)
クアラルンプール発
2024年07月11日
マレーシア保健省は7月5日、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関する標準作業手順書(SOP)を更新した。「新型コロナとの共生」と題した声明によると、保健省は、陽性者に対する在宅監視命令(HSO)を7月15日に廃止する。「4年以上にわたりパンデミックに立ち向かい、さまざまな封じ込め策を講じてきたが、現在、状況は落ち着いており、新型コロナとの共生段階に移行する準備ができている」とした。
具体的には、新型コロナも他の呼吸器疾患と同じように扱い、従来5日間必要とされていた自宅隔離、および政府の新型コロナ対策アプリ「MySejahtera(マイセジャテラ)」への自己検査結果の報告(2023年12月時点の保健省発表参照、マレー語のみ)は不要とする。
一方で、陽性反応が出た場合のガイドラインとして、次の点を示した。
- 自主的に外出を控える。
- 他人との近距離での接触を控え、外出時には感染拡大を防ぐための措置を講じる。
- 発症し、重症化した場合には、最寄りの医療機関を受診する。病気休暇の申請可。
- 濃厚接触者は、自身の健康状態に注意し、発症した場合には最寄りの医療機関を受診する。
保健省はまた、マスクの着用についてもあらためて方針を明らかにした。マレーシアは2023年7月に、場所を問わずマスクの着用義務を完全撤廃していたが(2023年7月3日記事参照)、新型コロナ陽性の場合にはマスクの着用と人混みの回避を推奨すると述べた。このほかにも、せきなど風邪の症状が出ている場合や、医療関係者が患者と接触する場合には、マスクの着用を推奨する。
新型コロナ禍で不可欠だったマイセジャテラについて、政府は国民に浸透したこのシステムを、健康診断の記録など他用途でも最大限活用しようとしている。例えば、マレーシア入国管理局は2024年6月1日以降、シンガポールとの国境橋につながる検問所のバス・バイクレーンを利用するマレーシア国民を対象に、マイセジャテラを用いたQRコード入国審査の実証実験を行っている。実験の結果次第では、アプリの運用対象が拡大する可能性もある。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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