バイデン米政権が大規模ロシア制裁を発動、300以上の事業体・個人を金融制裁対象(SDN)に指定
(米国、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)
ニューヨーク発
2024年06月13日
米国のバイデン政権は6月12日、イタリアでのG7首脳会議(サミット)の開幕を控え、ウクライナに侵攻するロシアに対して大規模制裁を発動した。制裁は、財務省、国務省による「特別指定国民(SDN)」への指定と、商務省産業安全保障局(BIS)による輸出管理強化(2024年6月13日記事参照)からなる。
財務省は国務省と共同で、ロシアやベラルーシの300以上の事業体・個人を、金融制裁対象であるSDNに指定した。具体的には、ロシアの金融システムのほか、金取引のロンダリング、無人航空機(UAV)の生産、化学・生物兵器の材料やUAV機器、工作機械、産業機械、マイクロエレクトロニクスなど機微かつ重要な品目の調達を支援しているネットワークを対象としている。
SDNに指定された個人・事業体は、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。なお、米国人には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人が含まれる。
財務省は、今回の措置は、ロシアと取引する外国金融機関に対する2次制裁のリスクを高めるとともに、ロシアの軍事産業基盤による米国のソフトウエアやカード ゲーム ブラック ジャック技術(IT)サービスの利用を制限するものだと述べている。また、ロシアが将来的に液化天然ガス(LNG)から収入を得ることを制限するための措置でもあるとした。
今回SDNに指定された事業体・個人は、ロシア国内だけでなく、アジア、中東、欧州、アフリカ、カリブ海諸国など広範な地域に所在する。財務省はこうした広範な地域を対象とした措置が、ロシアによる制裁回避を困難にするとも述べている。
国務省の発表によると、今回SDNに指定された300以上の事業体・個人のうち、100以上は同省が指定した。同省は今回の制裁について、財務省と同様に、ロシアの制裁回避や将来のエネルギー収入を制限するものだとしたほか、ウクライナの子どもの強制移送や国外追放を行っている悪質な当局やエリートも対象にしたと述べている。
今回、SDN指定を受けた事業体や個人の詳細は、財務省外国資産管理局(OFAC)のウェブサイトで確認できる。またSDNに指定されている事業体や個人はOFACのデータベースで検索できるほか(米財務省、制裁対象者データベース更新、データのカスタカジノ)、SDNやエンティティーリスト(EL)など13の制裁対象者リストを管轄省庁横断的に検索可能な「統合スクリーニングリスト(CSL)」からも検索できる()。
(赤平大寿)
(米国、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)
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