イスラエルの戦争内閣解散、政権内やIDFとの不協和音、米軍事支援に不満表明
(イスラエル、パレスチナ、米国)
テルアビブ発
2024年06月21日
イスラエルの野党「ナショナル・ユニティ」党首のベニー・ガンツ前国防相やイスラエル国防軍(IDF)のガディ・アイゼンコット元参謀総長が戦争内閣を辞任(2024年6月11日記事参照)したことで、ベンヤミン・ネタニヤフ政権内やIDFとの間で不協和音が広がっている。
ネタニヤフ首相は、ガンツ氏やアイゼンコット氏の辞任を受けて、6月16日に戦争内閣を解散した。イスラエル首相府のデビッド・メンサー報道官は6月17日の国際プレスブリーフィングで、「ネタニヤフ首相は、ガンツ氏が去った今、このような政府の追加部門は必要ない、安全保障内閣は内閣とともに決定を下す権限を与えられていると話している」とした。
右派政党「ユダヤの力」党首のイタマル・ベン・グビール国家治安相は6月9日、ガンツ氏の後任として戦時内閣に加えるよう要請したが、「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(6月19日)によると、ネタニヤフ首相はベン・グビール国家治安相に対し、「限定的な安全保障協議チームのパートナーになりたい者は、国家機密や私的な会話を漏らしていないことを証明しなければならない」と伝えたとしている。
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘作戦を巡っては、IDFのダニエル・ハガリ報道官は6月19日、チャンネル13のインタビューに対し、「ハマスとは思想であり、政党である。ハマスを排除できると考えている人は間違っている」と答えた。イスラエル首相府はハガリ報道官のインタビューを受け、声明を発表し、「ネタニヤフ首相が議長を務める安全保障内閣は、ハマスの軍事力と統治能力の破壊を戦争の目標の1つと定めている。もちろん、IDFはこれに全力で取り組んでいる」と反論した。
ネタニヤフ首相は米軍の軍事支援に対して不満を表明しており、6月18日の動画声明で、アントニー・ブリンケン国務長官との会談の中で、「ここ数カ月、政権がイスラエルへの武器や弾薬を供与しないのは考えられない。私は道具を与えられれば、もっと早く仕事を終わらせることができると話した」と発言した。この声明に対し、米国国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は6月20日の記者会見で、「この地域でイスラエルが直面しているその他の脅威からイスラエルを守るために、米国ほど多くの支援を行っている国はない」と指摘し、ネタニヤフ首相の発言に「失望した」と述べた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、米国)
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