ブリンケン米国務長官がエジプト・イスラエル訪問、ガンツ前国防相は戦争内閣離脱

(米国、エジプト、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、カタール)

テルアビブ発

2024年06月11日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、人質全員の解放を確保する停戦合意に達する必要性についてパートナーと協議するため、6月10~12日の日程で、エジプト、イスラエル、ヨルダン、カタールを訪問している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ブリンケン長官の中東歴訪は、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃(イスラム原理主義組織ハマスがカード)以来8度目となる。

長官は6月10日に最初の訪問地エジプトのカイロでアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、即時停戦の提案や、パレスチナ自治区ガザでの紛争後の統治、安全保障、復興計画について協議を行った。長官はエルシーシ大統領との会談後に記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、停戦の提案を受け入れていないのはハマスだとし、中東地域へのメッセージとして、停戦を望むならハマスに圧力をかけるよう訴えた。

ブリンケン長官はその後イスラエルを訪問し、エルサレムでベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。米国務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、長官は「米国と世界の指導者たちは、(ジョー・)バイデン大統領が示したガザでの即時停戦や、全ての人質の解放、ガザ全域への人道支援の大幅かつ継続的な増額につながる包括的提案を支持していく」とあらためて表明した。

一方、イスラエルの戦争内閣に参加している野党「ナショナル・ユニティ」党首のベニー・ガンツ前国防相は6月9日に記者会見を行い、戦争内閣から離脱すると発表した。

ガンツ氏は5月18日の記者会見で、6月8日までに6つの国家的重要課題の達成につながる行動計画を策定するよう求め、ネタニヤフ首相が国益よりも個人的利益を優先する場合には戦争内閣から離脱すると述べていた(関連ブラック クイーン ブラック)。

イスラエルの現地紙「グローブス」(6月9日)によると、ガンツ氏は「真の勝利とは、権力の存続よりも、人質の返還を優先することだ。真の勝利とは、軍事的成功と政治的・外交的イニシアチブを組み合わせたものだ」と指摘した上で、「残念なことに、ネタニヤフ首相は私たちが真の勝利へと前進することを妨げている」として、離脱の理由を説明した。

ガンツ氏はネタニヤフ首相に対し、イスラエルの国会に相当するクネセトの総選挙を今秋に実施するよう求めた。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(米国、エジプト、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、カタール)

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