ベルギー機械大手、水素の電解槽生産拠点の拡大に向け増資決定

(ベルギー)

ブリュッセル発

2024年06月07日

ベルギー機械エンジニアリング大手のジョンコックリルは6月3日、電解槽などの製造を行う子会社のジョンコックリル・ハイドロジェンについて、米国エネルギー技術企業のSLBがリード投資家となり、2億3,000万ユーロの増資を行うことを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ベルギー連邦政府のソブリンファンドのSFPIM、ベルギー南部・ワロン地域政府(注)の公的ファンドのワロニー・アントルプランドルなども今回の増資に参加する。

ジョンコックリル・ハイドロジェンは5メガワット(MW)の電解槽スタックや、30MW加圧式アルカリ型電解槽などの製品ポートフォリオを持ち、世界各国で1,300台の納入実績を有している。

ジョンコックリルは、中国の蘇州に年間1ギガワット(GW)規模の電解槽製造能力を有する生産拠点を有している。フランスとベルギーの生産拠点も、2025年末までに製造能力を同じく年間1GWまで引き上げる計画。加えて、米国のヒューストンや、インド東部のカキナダ、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、モロッコなどで、それぞれの現地パートナーと連携しつつ、電解槽の大規模な生産能力を有する「ギガファクトリー」を設置する予定。今回の増資により、世界各地の水素製造・消費の需要地点で電解槽の現地生産を進める意向だ。

ベルギー連邦政府は2022年に新たな水素戦略を定めて()以降、自国の港湾やエネルギーインフラを活用し、欧州での水素の輸入・輸送ハブ拠点を目指している。同戦略に基づき、水素インフラの整備につながるプロジェクトへの資金援助も行われており、ジョンコックリルは連邦政府、地域政府のこれら各種補助金を活用しながら、水素関連事業の強化を進めている(連邦政府、水素インフラ整備プロ21欧州投資銀行、ブラック ジャック)。

(注)ベルギーは連邦制で、経済政策は地域政府が管轄している。

(山田泰慎)

(ベルギー)

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