中銀が2023年の国際収支報告書を公開、貿易収支は大きく改善
(モザンビーク)
マプト発
2024年05月29日
モザンビーク中央銀行は5月2日、2023年の国際収支報告書を公開した。貿易収支の赤字額は9億320万ドルと、2022年の50億5,640万ドルから大きく改善した。輸出額は82億7,640万ドルと、2022年の82億8,090万ドルからほぼ横ばいだったことに対して、輸入額は前年比41億5,770万ドル減の91億7,960万ドルになった。2022年の輸入額に浮体式天然ガスプラント(FLNG)の輸入額(約42億ドル)が計上されていたため、2022年は大幅に上振れしていた。
2023年までの品目別輸出金額構成は、2022年は石炭とアルミニウムで総輸出額の56%を占めたことに対して、2023年は石炭(22億2,560万ドル)が構成比27%、天然ガスの輸出額がそれに次ぐ17億2,610万ドル(構成比21%)を記録した。FLNGが稼働しているエリア4コーラル・サウスガス田からの天然ガスの輸出(2022年11月18日記事参照)が同品目の輸出額を前年比219%増と押し上げた。なお、アルミニウムは12億6,200万ドル(構成比15%)だった。天然ガスの輸出額が伸びた一方、石炭は国際価格の下落が主要因で前年比マイナス22%、アルミニウムが国際価格の下落と製造企業の設備故障による減産を受けて同マイナス33%となり、総輸出額の伸びは鈍化した。
モザンビークへの対外直接投資(FDI)は前年比2%増で25億940万ドルだった。セクター別では、例年の傾向を踏襲し、天然ガス、石炭などの採掘産業に全体の90%に当たる22億6,130万ドルが集中した。天然ガス開発関連企業に対するローンや商業信用などの負債性資本の流入が大半を占めた。
なお、エリア4のコンソーシアムに参画しているポルトガルのエネルギー大手ガルプは5月22日、自社が保有するエリア4の権益全て(シェア10%)をアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)に売却することを発表した。売却は2024年12月末までに完了する見込みだ。
(松永篤)
(モザンビーク)
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