バイデン米政権、UFLPA事業者リストに中国の繊維企業26社を追加

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年05月20日

米国国土安全保障省(DHS)は5月16日、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者を掲載する「UFLPAエンティティー・リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に中国の繊維企業26社を追加したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。翌5月17日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。

UFLPAは2022年6月に施行された米国法だ。(1)物品の採掘・生産・製造が中国の新疆ウイグル自治区で行われた場合、または(2)UFLPAエンティティー・リストで指定された企業・団体が物品の生産などに関与した場合に、強制労働の利用があるとの推定の下、1930年関税法307条(注1)に基づき、当該物品の米国への輸入を禁止する。これまで、同リストには39企業・団体が指定されていた。今回、一度の追加指定としては過去最多となる26社が追加されたことで、同リストに掲載される事業者数は合計で65企業・団体となった(注2、添付資料表参照)。

今回追加された企業の多くは、新疆ウイグル自治区から綿花を調達している新疆ウイグル自治区「外」に拠点を置く商社や倉庫施設だ。DHSは同自治区外の企業を追加したことで、同法に基づく執行の透明性を高めるとともに、企業が自社製品に強制労働を利用して作られた原材料などが含まれていないことを確認するデューディリジェンスの実施を支援できると説明している。DHSのロバート・シルバース次官は「今回の措置によって、米国がサプライチェーンにおける強制労働を防止するための行動を起こしていることをあらためて示した」と述べたほか、今後も同リストへの追加指定を続ける姿勢を強調している。なお、DHSは2024年4月に繊維産業における不正貿易の取り締まり強化に向けた行動計画を発表した中で、UFLPAエンティティー・リストへの追加指定の方針などを示していた(関連ブラック ジャック アプリ)。

米国税関・国境警備局(CBP)が公表するUFLPAの執行データ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2024年5月1日時点)によると、2022年6月のUFLPA施行以降、33億2,000万ドル相当の8,465件の貨物が差し止められた。うち、46%の貨物は許可、40%は否認、15%は保留(注3)となっている。産業別に差し止められた貨物をみると、太陽光発電モジュールなどのエレクトロニクスが28億6,774万ドル相当の4,323件と、金額・件数ともに最多。件数ベースでは、アパレル・履物・繊維が1,442件(5,654万ドル)で続く。

(注1)合衆国法典19編1307条(1930年関税法307条)は、強制労働や児童労働、囚人労働、刑罰による契約労働などを利用して採掘・生産・製造されたあらゆる物品の輸入を禁止する。UFLPAと並行して、1930年関税法307条に基づいて輸入を差し止める措置も継続されている。最新事例は関連オンライン ブラック ジャック

(注2)併せて指定されている子会社や関連組織を除く。

(注3)輸入者は、CBPが差し止めを通知した日から30日以内に異議を申し立てることができる。保留は、輸入者が異議の申し立てまたはCBPが異議の審査を行っている段階で、その後に許可または否認に最終決定される。なお、許可・否認・保留の割合はそれぞれ小数点第1位を四捨五入しているため、合計値は100%にならない。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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