メキシコ、日本・イタリア原産鉄鋼厚中板に対するAD税を廃止

(メキシコ、日本、イタリア)

メキシコ発

2024年05月07日

メキシコ経済省は4月30日、イタリアと日本を原産国とする鉄鋼厚中板にかかるアンチダンピング(AD)税を撤廃する通知を官報公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2017年11月から同製品に対するAD調査が開始され(ブラック ジャック ストラテジー始)、2019年4月30日にAD調査の最終決定文書において、両国産の同製品に対するAD税が課税されていた(関連ブラック ジャック 確率)。

当該品目に対するAD税の適用期間は5年間とされており、2023年9月14日付の連邦官報で、経済省はアンチダンピング税の有効性に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公示した。しかし、サンセット・レビュー(注1)の関心表明を行った国内生産者が期限である2024年3月21日までに申請者が現れなかったため、AD税は廃止(注2)となった。

AD税廃止の主な要因として、メキシコ国内における厚中板の生産者が実質的にアルトス・オルノス・デ・メヒコ(AHMSA)の1社しかなく、AD調査もAHMSAが申請したことが契機だったが、2023年4月に同社が破産したことにより、サンセット・レビューの申請者が現れなかったことが挙げられる。

一般関税25%を回避するために日墨EPA活用を推奨

AD税は廃止されたものの、鉄鋼厚中板は、鉄鋼など544品目の一般(MFN)関税率を引き上げた措置の対象品目の中に入っており、MFN税率での輸入は25%の関税がかかる(2024年4月25日記事参照)。MFN税率を回避するために、イタリア産の厚中板をメキシコに輸入する場合はEU・メキシコ自由貿易協定(FTA)を活用し、日本産の場合は日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)を積極的に活用することが推奨される。

(注1)AD措置は原則5年で撤廃することとなっているが、AD税の撤廃がダンピングおよび損害の存続または再発をもたらす可能性があり、AD税を継続するかどうか判断するための調査のこと。

(注2)今回撤廃される品目は次のとおり。

7208.51.04商品識別番号(NICO)01、02、03、7208.52.01(NICO)00、7225.40.91(NICO)99

(阿部眞弘)

(メキシコ、日本、イタリア)

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