米大手医療機関、ヒューストンで初の医薬品ドローン配達計画を発表

(米国)

ヒューストン発

2024年04月26日

米国テキサス州の大手医療機関メモリアル・ハーマン(本社:同州ヒューストン、注1)は4月19日、ドローン配達のスタートアップ、ジップライン(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)と提携して、処方薬や医療用品のドローン宅配サービスを2026年にも開始すると発表した。ヒューストン地域の医療機関では初の試みだ。メモリアル・ハーマンの上級副社長・最高財務責任者(CFO)のアレク・キング氏はジップラインのサービスについて、患者が必要とする医薬品を迅速かつ便利に、追加の費用負担なく入手できるようにするものと評価する。将来的には、グループ病院間で医薬品や医療用品、試験サンプルをドローン配送する可能性もある。

テキサス州では近年、ドローン配達の実用化が進んでいる。米国小売り最大手ウォルマート(本社:アーカンソー州ベントンビル)はジップラインやウィング(本社:カリフォルニア州パロアルト、注2)、ドローンアップ(本社:バージニア州バージニアビーチ)と提携し、2022年以降、テキサス州を含む6州(注3)でドローン配達サービスを開始(米ウォルマート、ブラック ジャック)。2024年1月9日にはダラス・フォートワース地域で、配送エリアのさらなる拡大を発表。医薬品や食料品、日用雑貨など2万点以上の商品が購入可能で、重さ4~10ポンド(約1.8~4.5キログラム)の荷物を最速10~30分程度で配達可能という。

米電子商取引(EC)小売り最大手アマゾン(本社:ワシントン州シアトル)は2022年からテキサス州カレッジステーションにドローン配達施設を構えて、実用を開始。2023年から処方薬のドローン配達も始めた(2024年4月25日記事参照)。

外資企業のテキサス州進出も進む。イスラエル企業フライトレックスはフォートワース南西のグランバリーに進出し、飲食店のテイクアウト注文のドローン配達を実施。フォートワース北部では、アイルランド企業マンナがドローンでの軽食配達サービスなどについて、連邦航空局の認可申請中だ。

(注1)非営利の医療システムとしてテキサス州南西部最大規模を誇る。1907年創業、4,336病床。病院17カ所、心臓血管機関4カ所、スポーツ・リハビリセンター32カ所など。従業員数は約2万9,000人、医師6,200人。

(注2)親会社はグーグルのアルファベット。

(注3)テキサス、アーカンソー、アリゾナ、フロリダ、ユタ、バージニアの6州。

(キリアン知佳)

(米国)

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