日米首脳会談での合意に関連したエネルギー関係の閣僚級会合が開催
(米国、日本)
ニューヨーク発
2024年04月12日
日本の盛山正仁文部科学相と米国のデービッド・ターク米国エネルギー省副長官は4月9日、米国の首都ワシントンで会談し、「フュージョンエネルギーの実証と商業化を加速する戦略的パートナーシップに関する共同声明」(米国側発表/日本側発表)を発表した。今後、科学技術協力協定に基づいて設置された日米核融合エネルギー調整委員会(CCFE)を活用し、(1)科学的・技術的課題への対応や、研究開発施設の共用・開発、(2)核融合炉の規制に関する国際的な協調の促進、(3)産業界とも連携した、世界的なサプライチェーン発展の支援、(4)次世代を担う人材の育成や研究者交流の拡大、などを進めていくという。本共同声明に関しては、米国の核融合産業協会(FIA)が「国を越えた協力は、核融合技術の進歩にとって重要なツールだ。FIAは日米両国に会員を持つ協会として、新たに発表されたパートナーシップを強力に支持する。不必要な競争をするには核融合はあまりに重要なものであり、志を同じくする国々は共通の目標に向けて協力すべきだ」と歓迎するコメントを出している。
また、4月10日には、日本の齋藤健経済産業相と米国のジョン・ポデスタ大統領上級補佐官が、ワシントンで米国のインフレ削減法(IRA)と日本のGX推進戦略(GX)のシナジーを最大化するための政策対話を開催した。本政策対話は、今後10年でエネルギー移行の進展を加速させ、補完的かつ革新的なクリーンエネルギーのサプライチェーンを促進し、産業競争力を向上させるという日米が共有する目標に向けて、IRAとGXの間で、相乗効果と影響を最大化するために立ち上げられたもので、今回が初会合となる。今回の政策対話の中では、(1)新たなクリーンエネルギー技術(注)の開発とその迅速な展開のための協力や、(2)エネルギーと産業の脱炭素化に不可欠な戦略物資の安定供給のための供給力強化と需要創出に向けた取り組みの加速、(3)政策やインセンティブの設計を通じたサプライチェーン全体での排出削減を促進するための施策などでのさらなる協力、などが取り上げられた。2024年中に閣僚級で再度、政策対話を開催することも確認された。
4月10日に発表された日米首脳共同声明()では、気候変動対策の加速化について2国間で連携を強化していくことが盛り込まれており、首脳会合と併せ、閣僚級でも両国間の会合が行われたかたちだ。
(注)特に、洋上風力、ペロブスカイト太陽電池を含む太陽光発電、水素・アンモニア、水電解装置、ヒートポンプ、革新炉、カーボンマネジメント技術など、ゼロ排出技術および低排出技術が挙げられている。
(加藤翔一)
(米国、日本)
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