IMF理事会がエジプト支援拡大を承認、8億2,000万ドルの調達可能に
(エジプト)
カイロ発
2024年04月05日
IMFは3月29日、理事会がエジプトへの支援増額を承認したと発表した。2022年12月に発表されたIMFのエジプトに対する支援パッケージは30億ドルだったが、2024年3月の経済改革案への事務レベル合意において、50億ドル増額して総額80億ドルの支援を行う可能性が言及されていた(2024年3月13日記事参照)。IMF理事会が、長らく実施されていなかった支援プログラムの第1回・第2回レビューの完了および支援増額を承認することで、エジプト政府は8億2,000万ドルをすぐにでも調達することができるようになったとした。
IMFはレビューの結果、2023年6月末までの目標のうち、エジプト政府は1つを除いて全てを達成したと発表した。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、エジプトがロシアのウクライナ侵攻やガザ紛争などの厳しい対外環境の影響を受け、インフレ率の上昇、外貨不足、債務増大などの重大な経済的課題に直面しているとした上で、経済的課題の対処にはIMFプログラム下での構造改革が引き続き重要だと述べた。一方で、公定為替レートと並行市場のレートの統一、外貨流動性の回復、金融引き締めといったエジプトの政策(関連ブラック ジャック 賭け、3月25日記事参照)を重要な前進と評価した。
IMFの記者会見では、参加した記者から8億2,000万ドルという支援額は少ないのではないかとの指摘があった。これに対してIMFは、送金額の決定には対象国の資金ニーズが重要視されるが、今回の送金は、第3回レビューがまもなく実施予定であることを考慮の上で決定したと説明した。第3回レビューは2024年6月末までに実施される見通しで、レビュー終了時には、さらに追加の8億2,000万ドルが送金される。また、第4回~第8回のレビューは、その後6カ月ごとに実施され、1回のレビュー終了時の送金額は約13億ドルになるとの見通しを示した。
(塩川裕子)
(エジプト)
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