南部アフリカ開発共同体(SADC)のモザンビーク北部支援部隊の撤退開始
(モザンビーク)
マプト発
2024年04月26日
モザンビーク北部カーボデルガード州での南部アフリカ開発共同体(SADC)による支援部隊のSADC待機軍(SAMIM)が撤退を開始した。撤退は4月5日から開始され、同日にボツワナ軍の一部が、15日には南アフリカ共和国軍が撤退した。SAMIMにはこれら2カ国のほか、アンゴラ、コンゴ民主共和国、レソト、マラウイ、タンザニア、ザンビアからの部隊が派遣されており、今後順次撤退していくとみられる。
SAMIMは同国北部でのイスラム系武装勢力による治安悪化を受け、SADC加盟国より派遣されている軍隊で、2021年8月から展開されている()。報道によると、SAMIMには約1,900人が動員されている(「ジタマール」2024年1月29日)。SADCは、2023年8月の首脳会議で、2024年7月15日までに派遣軍を完全撤退させ、ミッションを終了することを決定していた。モザンビークのべロニカ・マカモ外務協力相は報道に対し、SADCが2023年12月、新たにコンゴ民主共和国での軍事ミッションを開始した状況下で、予算の制約も考慮した上でSAMIM撤退を決定したと述べた(「クラブ・オブ・モザンビーク」2024年3月26日)。
一方、カーボデルガード州では2024年に入り、同州中部から南部にかけて武装勢力の活動の活発化が懸念されている(天然ガス開発再開に期待も、カジノ)。日本の外務省も4月18日にモザンビーク北部一部地域の危険度をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げた。同州にはSAMIMのほか、ルワンダ政府も軍隊と警察を派遣し、モザンビーク国防軍などとともに治安の安定化に取り組む。ルワンダ国防軍で国際協力を担当するパトリック・カルレトワ准将は報道に対し、現在2,500人の派遣人員を増員するとともに、モザンビーク軍への訓練を実施するなど、体制を強化する意向を示した(「クラブ・オブ・モザンビーク」2024年4月7日)。
(松永篤)
(モザンビーク)
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