モザンビークで多国間協力による北部武装勢力対策が続く
(モザンビーク)
マプト発
2021年10月12日
2017年以降、イスラム系武装勢力による住民や外国人に対する襲撃、警察や治安部隊などとの戦闘が続いているモザンビーク北部カーボ・デルガド州では、治安回復に向け多国間協力による対武装勢力作戦が進行している。
2021年7月にルワンダ軍が、8月には南部アフリカ開発共同体(SADC)待機軍(2021年7月8日記事参照)が、同州においてモザンビーク警察、政府軍との合同作戦を開始した。9月15日付のカーボ・リガード(注)のレポートによると、ルワンダとSADCの支援を受けたモザンビーク政府軍は、8月に武装勢力の実効支配下にあったモシンボア・ダ・プライア(Mocimboa da Praia)を奪還するなどの成果をあげている。SADCは10月5日に、モザンビークのフィリペ・ニュシ大統領、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領らが参加した臨時サミットで、SADC待機軍の派遣期間を当初の10月15日から延長することを承認し、今後も治安回復に向けた取り組みが続く見通しだ。モザンビーク政府は9月28日、同州の被害地域に対し約3億ドルの復興計画を準備しており、3年以内に実施する予定だと発表した。
治安の悪化により、工事が停止されているエリア1天然ガスプロジェクト(2021年4月30日記事参照)の再開時期も注目される。コンソーシアム筆頭のトタルエナジーズは9月27、28日に実施された投資家向け説明会において、天然ガスの生産開始予定を2026年としているものの、工事再開時期について同社は明示していない。他方、洋上プラントがメインとなるエリア4コーラル・サウス鉱区での天然ガス生産は、2022年に開始予定であることが発表されている(「S&Pグローバルプラッツ」9月20日)。
(注)世界各地域の紛争状況を収集する米国NGOのACLED、モザンビークの独立系メディア、ジタマールおよびメディアファックスにより運営される、カーボ・デルガド州武装勢力関連動向のデータ収集、分析プロジェクト。
(松永篤)
(モザンビーク)
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