次期エネルギー価格上限は大きく引き下げに、さらなる負担軽減策も展開

(英国)

ロンドン発

2024年03月11日

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は2月23日、4月から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。標準的な家庭のガス・電気使用量(注)の場合、年間の価格上限は1,690ポンド(約31万9,410円、1ポンド=約189円)と、現行(2024年1~3月)の1,928ポンドから238ポンド減の大幅な引き下げとなった(次期エネルギー価格上限を発表、トランプ、添付資料図参照)。

価格上限の推移は、2023年1~3月期(4,279ポンド)をピークに引き下げが続いていた中、中東情勢などによるガス・電気の卸価格高騰の影響を受けて前回上昇に転じたが、今回再び引き下げした。英国調査会社コーンウォール・インサイトは今回の価格上限について、ガスの健全な流通と比較的温暖な冬が相まって、欧州のガス貯蔵量が予想を上回り、卸価格が下落したことを主な要因に挙げた。同社は次回(2024年7~9月期)を約1,463ポンド、次々回(2024年10~12月期)を約1,521ポンドと予想している。

エネルギー料金負担軽減へイノベーション促進

エネルギー安全保障・ネットゼロ省は同日、今回のエネルギー価格上限引き下げ発表に合わせて、消費者のさらなる負担軽減に資する措置の展開について発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。最も安価な料金を適用する環境を整備するために、「デフォルト・タリフ」と呼ばれる標準料金プランがどのように機能すべきかを検討するとした。また、安価な低炭素電力を最大限に活用する3つの実証プロジェクトに合計1,000万ポンドを拠出して、新しい技術や料金プランの顧客との実証試験を支援する。

併せて、利用状況などを確認することができるスマートメーターの家庭用ディスプレーに関して、1年間の保証期間終了後に修理や交換を支援する新たなスキームを開始することも発表した。エーオン(E.ON)やオクトパスエナジー、OVOなどエネルギー小売事業者8社がこのスキームに登録し、実施することとしている。

政府が2022年夏に実施した調査によると、安い時間帯に電気を使用することで節約できるよう、昼夜を通じて、例えば、30分ごとに価格が変動する料金プランに切り替える可能性について、36%が「高い」、27%が「非常に高い」と回答していた。

(注)Ofgemは2023年10月から標準的な家庭のガス・電気使用量の算定方法を変更した。それに伴い、2023年10~12月期の価格上限も8月25日に発表した1,923ポンドから1,834ポンドに変更した。

(菅野真)

(英国)

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