次期エネルギー価格上限を発表、再び引き上げに転じる

(英国)

調査部欧州課

2023年12月05日

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は11月23日、2024年1月から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格の上限は1,928ポンド(約36万536円、1ポンド=約187円)と、現行(2023年10~12月)の1,834ポンド(注)から引き上げられた(次期エネルギー価格上限を発表、ブラック、添付資料図参照)。価格上限の推移は、2023年1~3月期(4,279ポンド)をピークに引き下げが続いていたが、中東情勢などによるガス卸価格上昇の影響を受け、今回、引き上げに転じた。次回の価格上限の改定は、2024年4月から6月分に適用する価格上限で、2024年2月23日に発表が予定されている。

英国調査会社のコーンウォール・インサイトは、今後の価格上限について、次回(2024年4~6月期)を約1,816ポンド、次々回(2024年7~9月期)を約1,793ポンドと予想している。

Ofgemのジョナサン・ブリーリー最高責任者は、多くの人々は困難な状況にあり、光熱費の上昇は懸念事項だとする一方、ガス・電気の卸価格の上昇はエネルギー価格に反映されるべきとした。また、消費者支援の重要性を強調し、事業者に対して、光熱費支払いに苦慮する消費者の特定と支援の期待を示したことや、脆弱(ぜいじゃく)な消費者を優先的に支援する規則を定めてきたことを説明した。さらに、市場においてさまざまな料金プラン提供の再開の兆しが見られ、消費者は、幅広い料金プランから自身に合ったプランを選択することで利益を得ることができるとした。

今回の発表に対し、エネルギー企業の業界団体エナジーUKは、予想し得たこととは言え昨年の冬よりも多くの光熱費を支払うことになる消費者にとって歓迎すべきことではない、とし、業界として引き続き光熱費支払いに苦慮する消費者の支援強化を続ける、とした。また、政府に対して、この冬に最も支援を必要する消費者に的を絞った支援を実施するよう要請していくとした。

(注)Ofgemは2023年10月から、標準的な家庭のガス・電気使用量の算定方法を変更した。それに伴い、2023年10~12月期の価格上限も、8月25日に発表した1,923ポンドから1,834ポンドに変更された。

(奈良陽一)

(英国)

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