次期エネルギー価格上限を発表、市場動向を反映しさらに低下

(英国)

ロンドン発

2023年09月05日

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は825日、202310から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格上限は1,923ポンド(約353,832円、1ポンド=約184円)と、20235月に発表した現行(202379月)の2,074ポンドから引き下げた(2023529日記事参照、添付資料図参照)。価格上限の推移は、エネルギー卸価格高騰の影響を受け、一時は4,000ポンド超(注)まで引き上げたが、今回のさらなる引き下げにより、202249月期(1,971ポンド)以来で初めて2,000ポンドを下回る水準となった。次回のエネルギー価格上限の改定は、20241月から3月分に適用する価格上限で、202311月に発表が予定されている。

英国調査会社のコーンウォール・インサイトは今後の価格上限について、次回(202413期)を約1,932ポンド、次々回(202446月期)を約1,868ポンドと予想している。

Ofgemのジョナサン・ブリーリー最高責任者は「価格上限が下がり続けていることは歓迎すべきニュースだが、人々がより広い生活費の課題に苦しんでいることは承知しており、この冬に事態が緩和されるという断言はできない」としながらも、「エネルギー小売事業者の財務見通しが安定し、妥当な利益が戻ってきている兆候がある」として、特に脆弱(ぜいじゃく)な層を中心に適切な還元がなされることを期待するとした。また、価格高騰以前の低水準には及ばないものの、競争力のある固定単価の料金プランが市場に参入してきており、切り替えは徐々に増加しているとした。

価格上限制度はこれまで過去2年間にわたり、エネルギー卸価格の変動や高騰から家計を保護してきたが、当初は大多数の消費者をカバーするのではなく、より安価な料金プランに切り替えをしなかった少数の消費者を保護するために、政府が導入したものとOfgemは説明。現在の不安定な市場と、ネットゼロへの移行に対して適切に機能する代替モデルを検討する重要性を示した。

(注)「エネルギー価格保証」により、202210月以降は、実質2,500ポンドに制限された。20237月以降の「エネルギー価格保証」の水準は年間3,000ポンドに引き上げられ、20243月まで適用される予定。

(菅野真)

(英国)

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