シャリフ首相、IMFからの継続的な融資の必要性強調
(パキスタン)
カラチ発
2024年03月29日
パキスタンのシャバズ・シャリフ新首相は3月21日、特別投資円滑化評議会(SIFC)の最上級委員会で「今後2~3年間の新たなIMFプログラムなしで、われわれが生き残ることはできない」と語り、現在の経済危機から脱するために新たなIMFプログラム適用を受ける考えを明らかにした(「ドーン」紙、「トリビューン」紙ほか各紙3月22日)。同委員会には3月11日に発足した新内閣の主要経済関係閣僚(添付資料表参照)やサイエド・アシム・ムニール陸軍参謀長(COAS)、軍幹部、経済関係省庁幹部などが出席した。
なお、パキスタンが利用するIMFのスタンドバイ取り決め(SBA)の第2回と最終レビューは3月14日から19日にかけて実施され、20日に事務レベル合意(SLA)に達した(プレスリリース)。これにより、融資総額30億ドルのうち、既に実行された19億ドルを除く11億ドルが4月下旬のIMF理事会の承認を経て実行され、パキスタン中央銀行(SBP)に送金される(2024年1月17日記事参照)。
SBPが保有する外貨準備は80億1,800万ドル(3月15日時点)で、現地報道によると、2024年6月末までに期限を迎える政府対外債務、利払いは246億ドルになる(「ビジネス・レコーダー」紙3月22日)そのうちの124億ドルは債権国による繰り延べが確認されていると報じられているものの、外貨準備高は綱渡り状況が続いている。
IMFの融資プログラムでは、財政規律や増税、公共料金引き上げなど、構造改革に向けた厳しい数値目標(KPI)が現地政府に課され、レビューを経て段階的に融資が行われる。現地政府にとり、国内の構造改革は痛みを伴うが、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、中国などの友好国ですら、パキスタン政府のIMFプログラム実施を追加融資や債務繰り延べの条件することが多く、政府にとってプログラム入りは不可欠となっている。
経済は依然として厳しい状況が続くものの、政府がプログラムに沿って着実に経済改革を進めれば、経済の安定性と予見可能性が高まることが期待される。
(山口和紀)
(パキスタン)
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