全米自動車労働組合(UAW)、EV用バッテリー製造拠点などでの組織化に向け4,000万ドルを拠出

(米国)

ニューヨーク発

2024年02月26日

全米自動車労働組合(UAW)は2月21日、全米における労働組合を持たない自動車と電気自動車(EV)用バッテリー産業に従事する労働者を支援するため、新たな組織化のための基金として2026年までに4,000万ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国では、バイデン政権が発足した2021年以降、インフレ削減法(IRA)やインフラ投資雇用法(IIJA)に基づく税額控除や助成金の支援もあって、EV用バッテリー生産拠点の新設に関する発表が続いており、UAWは組合結成の好機と捉えているようだ。

UAWは、今後数年間でEV生産の拡大に向け、バッテリー業界では全米で数万人を追加雇用することとなり、新たな組織化活動を通じて、労働者はバッテリー産業における労働基準を維持、向上させるために戦う必要があるとみている。

UAWは、2023年のデトロイト3(ゼネラルモーターズ、フォード、ステランティス)との労使交渉の中で、複数の生産拠点でストライキを決行し、大幅な賃上げなどを勝ち取った(UAWとデトロイト3、史上最高の無料 カジノ)。また、現在、労働組合を持たない自動車メーカーでも、2023年12月にテネシー州にあるフォルクスワーゲンのチャタヌーガ工場で労働者の1,000人以上が組合授権カード(注)に署名、さらに2024年1月にはアラバマ州にあるメルセデス・ベンツのタスカル―サ工場、2月には同州にある現代自動車のモンゴメリー工場で、それぞれ労働者の30%以上が同カードに署名するなど、南東部での組合結成にむけたUAWの積極的なキャンペーンが続いている(米テネシー州のVW工場、オンライン2024年1月17日米アラバマ州の現代自動車工場、ブラック)。

米国労働省によると、米国の2023年の全産業従事者における労働組合加盟率は、1983年から半減した。UAWの組合員数も、1979年の150万人を頂点に減少傾向にあり、ここ10年間をみても、2017年の43万人を最多に2022年には約38万人にまで減少している(USAToday電子版2023年9月15日)。

(注)労働者が労働組合を交渉の際の代表として支持することを示す署名入りのカード。

(大原典子)

(米国)

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