欧州委、2024年のEUとユーロ圏のGDP成長率予測を下方修正
(EU、ユーロ圏)
ブリュッセル発
2024年02月22日
欧州委員会は2月15日、冬季経済予測(中間予測、注)を発表した。EU27カ国の2024年の実質GDP成長率は0.9%と予測し、前回の秋季経済予測(関連ブラック ジャック ゲーム)の1.3%から0.4ポイント下方修正した(添付資料表1参照)。ユーロ圏20カ国の2024年の実質GDP成長率は0.8%とし、前回から0.4ポイント下方修正した。
2023年のEU経済は、購買力の低下、金融の引き締め、財政支援の一部廃止、外需の落ち込みで成長が抑制された。2024年第1四半期の成長見通しは依然として弱いが、インフレ率の低下、実質賃金の上昇、堅調な労働市場が消費の回復を支え、経済活動は徐々に加速する見込みだ。また、前年は低調だった貿易も正常化し、2024年後半から2025年末にかけて成長は安定する見込み。
今回の予測によると、2024年の加盟国別のGDP成長率は、全加盟国プラス成長で、マルタ(4.6%)やルーマニア(2.9%)など9カ国で2.0%超となる見通し。ユーロ圏主要国では、スペイン1.7%、フランス0.9%、イタリア0.7%とし、ドイツは2023年のマイナス0.3%から0.3%のプラス成長に転じる見通しとなった。
エネルギー価格の急速な下落や経済の減速を受けて、インフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は予測よりも早く低下しているとし、2024年のEUとユーロ圏のインフレ率は、前回予測である3.5%と3.2%から、3.0%と2.7%に下方修正した(添付資料表2参照)。
地政学的緊張の中での不確実性が拡大
今回の予測は、中東情勢など地政学的緊張の長期化により、不確実性が高い点を強調した。紅海情勢の混乱に伴う海運コストの上昇がインフレに与える影響はわずかとする一方で、さらなる混乱は供給の停滞の再発を招き、生産性が低下し、価格を押し上げる可能性を指摘した。域内では、成長とインフレ率は、消費、賃金、利益率の改善、金利が高止まる期間に左右されるとした。気候変動リスク、異常気象も引き続き脅威となるとした。
(注)欧州委は、春と秋にGDPの各構成要素や失業率、財政収支のGDP比などを含む包括的な経済予測を発表し、夏と冬に実質GDP成長率と消費者物価指数上昇率に関する中間予測を発表する。
(大中登紀子)
(EU、ユーロ圏)
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