米超党派議員団、ブラック ジャック 必勝 法
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年02月22日
米国連邦議会下院のジミー・パネッタ議員(民主党、カリフォルニア州)とミシェル・スティール議員(共和党、カリフォルニア州)を含む民主・共和両党の12人の下院議員は2月20日、バイデン政権に対して、中国の水産物のサプライチェーンと強制労働との関係を調査するよう求める書簡を送付したと発表した。書簡は16日付で送付された。
書簡はパネッタ議員とスティール議員が主導して作成したもので、米国務省のアントニー・ブリンケン長官や米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表らバイデン政権高官に対して送付された。書簡では、米国NPO団体のアウトロー・オーシャン・プロジェクト(OOP)の報告書を引用するかたちで、中国山東省を中心とした水産関連企業が中国の中央・地方政府とともに、ウイグル族やそのほかの少数民族に対する強制労働に加担しているという証拠が数多くあるとした。その上で、強制労働に依拠した水産物が米国を含む世界中の外食産業・食料品店・レストランに供給されているという深刻な疑惑があるとし、政権にこれを調査するよう訴えた。
WTOでは長年、漁業事業者に対する補助金が水産資源の乱獲などにつながっているとの問題が議論されている。米国は中国を念頭に、漁業補助金が乱獲などに加えて強制労働にもつながっていると主張している。実際に、2月16日に公開されたWTOの漁業補助金協定の草案(注1)では、米国が提案した強制労働に関する条項が含まれ、採択されれば、強制労働に依拠した水産事業者・船舶およびその証拠を締約国が通知するとしている。他方で、WTO加盟国の多くが強制労働問題はWTO協定外で扱うべきと反発しているもようだ(「インサイドUSトレード」2月20日)。今回の書簡では、2月26~29日にアラブ首長国連邦(UAE)で開催予定の第13回WTO閣僚会議において、ブリンケン長官やタイ代表らに対して、漁業補助金を効果的に規律できるよう厳しい交渉を行うよう要請している。
さらに書簡では、多国間での規制だけではなく、米国が取り得る一方的な行動も実施するべきだとして、グローバル・マグニツキー人権問責法に基づく制裁(注2)の発動を提言した。同制裁の発動により、強制労働に依拠した水産物の取引に関与する個人の責任を追及することで、強制労働は許されないというメッセージを世界に示すための強力な手段となり得るとしている。加えて、1930年関税法第307条に基づく強制労働に依拠した製品の輸入制限措置(注3)や、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく新彊ウイグル自治区が関与する製品の輸入制限措置(注4)を講じる可能性も検討すべきとした。
なお、米国国際貿易委員会(USITC)の輸入統計によると、米国の2022年の水産物(注5)の輸入額は233億8,878万ドルで、うち中国からの輸入額は15億6,271万ドル(全体の6.7%)とカナダ(15.4%)、チリ(13.7%)、インド(9.8%)、エクアドル(6.8%)に次いで国別5位の割合を占める。なお、日本からの輸入額は4億2,914万ドル(1.8%)を占めている。
(注1)草案本文は、上記リンク先ページ下部に記載されている”The draft text can be accessedhere”に埋め込まれたリンクより参照可能。
(注2)グローバル・マグニツキー人権問責法は、2016年に成立した米国法。同法に基づき、人権侵害に関与した事業者などを特別指定国民(SDN)に指定し、対象の米国資産凍結、米国人との取引禁止、米国への入国拒否など制裁措置を講じる。2022年12月には、同法に基づき中国の漁業事業者がSDNに指定された(関連ブラック ジャック 無料 ゲーム)。
(注3)1930年関税法第307条は、強制労働などに依拠して生産された製品の輸入を原則禁止する。米国税関・国境警備局(CBP)が輸入貨物に強制労働などの関与を認定(Finding)した場合には当該貨物が押収・没収されるほか、強制労働などの関与が推定される場合には違反商品保留命令(WRO)を発令して当該貨物の輸入を差し止める。
(注4)UFLPAは、2021年に成立、2022年に施行した米国法。同法に基づき、新彊ウイグル自治区もしくは同法事業者リストで特定された事業者がサプライチェーンに関与する製品は、強制労働に依拠して生産された製品の輸入を禁止する1930年関税法第307条の対象と推定し、輸入を原則禁止する。UFLPAの最新動向はジェトロ特集ページも参照。
(注5)関税分類番号(HTS番号)で2桁が03類(ただし、観賞用や養殖用の生きた魚を含む03.01類は除く)。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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