2023年の建設受注高、前年比2桁増、ブラック ジャック 勝率

(シンガポール)

シンガポール発

2024年01月19日

シンガポール建設庁(BCA)は1月15日、2023年の公共と民間の工事を合わせた建設受注高(埋め立て工事を除く)が暫定値で338億シンガポール・ドル(約3兆7,180億円、Sドル、1Sドル=約110円)と、前年比13.5%増加したと発表した(添付資料表参照)。2023年の建設受注高はBCAの事前予測(270億~320億Sドル、2022年のブラック ジャック)を大きく上回った。BCAによると、工事の応札価格の上昇に加え、民間住宅プロジェクトの工事前倒しや、公共住宅建設の加速により、2023年の建設受注高が大きく増加した。

2023年は公共工事が前年比12.7%増の195億Sドルと、建設受注高の約58%を占めた。公共工事のうち、公共住宅(HDBフラット)の受注高が42.6%増の76億Sドルで、部門別の最大だった。民間の建設受注高(143億Sドル)では、民間住宅の受注高が55億Sドルと42.5%増加し、部門別で最大だった。

BCAは2024年の建設受注高について「320億~380億Sドル」となるとの見通しを示した。このうち、公共工事が「180億~210億Sドル」と約55%を占めると見込んでいる。さらに、2025~2028年の年間建設受注高は「310億~380億Sドル」との予測を示した。このうち、公共工事が「190億~230億Sドル」と6割を占め、建設受注高全体を牽引する構造が続くと予想している。2025年以降には、チャンギ空港の第5ターミナルの建設工事のほか、大量高速輸送システム(MRT)のクロス・アイランド線や公共病院、学校施設の工事が予定されている。

公共プロジェクト、工事費超過などのリスクを応分負担へ

一方、デスモンド・リー国家開発相は同日、公共工事の設計やプロジェクト管理などの発注先と結ぶ「標準コンサルタント契約」(注)の見直しが完了したと発表した(1月15日国家開発省リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の見直しにより、不測の事態発生などによって工期延長が起きた場合のコスト分担がより公平なものになる見込みで、追加要求事項が発生した際の費用請求なども明確化される予定だ。BCAは現在、改定標準コンサルタント契約の最終調整をしており、2024年内にも導入する。

BCAは建設工事で課題が生じた場合に、受注側だけでなく、発注者を含めた関係者で協力して解決していく「コラボラティブ契約」の実験的な導入を進めている。リー国家開発相によると、標準コンサルタント契約の改定は、コラボラティブ契約導入に向けた動きの一環だとした。

(注)現行の標準コンサルタント契約(Standard Consultancy Agreement)のフォームは、BCAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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