2023年の自動車生産は14.2%増、国内販売は24.4%増と好調
(メキシコ)
メキシコ発
2024年01月10日
メキシコ国立統計地理ハイパーブラックジャック院(INEGI)は1月9日、2023年1~12月の自動車(大型バス・トラックを除く)関連統計を発表した。12月単月の生産台数は、前年同月比9.9%減と19カ月ぶりのマイナスとなったが、前月までの好調が反映され、2023年通年では前年比14.2%増の377万9,234台となった。生産の9割弱を占める輸出は15.2%増の330万876台と好調、国内販売も24.4%増の136万1,433台と輸出を上回る伸びをみせた(添付資料表1参照)。
生産台数を企業別にみると、1位のゼネラルモーターズ(GM)が前年比2.8%減の72万2,631台と減らす一方、2位の日産が57.5%増の61万5,571台と前年の不振から大きく回復した。3位のフォルクスワーゲン(VW)グループは9.3%増の52万4,348台だった。日産以外の日系メーカーの生産台数をみると、トヨタはタコマのモデルチェンジなどが影響して6.8%減の25万15台となったが、マツダは36.7%増の20万2,506台と好調で、初めて20万台の水準を超えた。ホンダも32.4%増の16万7,249台と大きく回復した。日系企業4社を合計すると123万5,521台に達し、国内生産全体の32.7%を日系企業が占めた(添付資料表2参照)。
過去12カ月間の生産台数累計の推移(添付資料図参照)をみると、メキシコの自動車生産は2018年2月に過去最高の年間397万台の水準に達した後、2019年前半まではおおむね横ばいで推移したが、2019年後半以降、緩やかな減少傾向となり、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響で2020年4月に大きく減少、同年6月に300万台を切る水準まで低下した。その後も半導体不足の影響を強く受けて低迷し、本格的な回復を見せるのは2022年後半以降となった。2023年は半導体の問題がほぼ解消して右肩上がりで推移、2023年末時点でほぼ新型コロナ感染拡大前の水準に戻っている。
実質賃金上昇で消費マインド向上、国内販売は絶好調
2023年の国内販売は当初予想を大きく上回る伸びを見せたが、この背景には実質賃金の上昇による消費マインドの活性化がある。社会保険庁(IMSS)に加盟する正規労働者の名目平均賃金(年平均)は、2022年に前年比10.76%増、2023年に10.79%増と、消費者物価指数の年平均上昇率をそれぞれ、2.80ポイント、5.24ポイント上回る。2023年後半はインフレ率が4%台まで落ち着いてきていることもあり、INEGIが発表する消費者信頼感指数(季節調整済み)は、2023年12月時点で46.8となり2019年2月以来の高水準、特に同指数の構成要素の1つ「耐久消費財購入意欲」は31.4と2013年以降で最高の水準にある。また、輸入車が全体の7割弱を占めるメキシコ市場では、為替レートがペソ高で推移したことも輸入車の販売価格を下げる要因となった。特に、輸入に依存する中国ブランド車などの販売を増やす要因になっているとみられる。中国系自動車メーカーの躍進()は続いており、4グループ合計で2023年は前年比62.8増の12万9,329台、市場シェア9.5%を確保するに至っている。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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