イスラエル中銀、政策金利を4.5%に引き下げ
(イスラエル)
テルアビブ発
2024年01月05日
イスラエル中央銀行は1月1日に金融委員会会合を開催し、政策金利を0.25ポイント引き下げ、4.5%とすることを決定した。ハマスとの戦闘の経済的影響は広範囲かつ重大で、経済活動全体に影響を及ぼしているとして、金融委員会の討議では、戦闘の経済的影響に焦点が当てられたとしている。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年4月以降、初めての利下げとなった。
金利の行方については、インフレ率の目標への継続的な収束、金融市場の継続的な安定、経済活動、財政政策に従って決定されるとしている。中銀調査部の予測では、2024年第4四半期の金利は3.75~4%で、市場見通しよりも緩やかな引き下げになるとみている。
中銀調査部は、GDP成長率見通しを2023年、2024年ともに2%で据え置き、2025年は5%とみている。また、軍事衝突による政府支出増加で、財政赤字額は2023年にはGDP比4%、2024年には同5.7%に達するとした。債務残高のGDP比は、2024年末と2025年末に約66%となり、2030年には約63%に低下すると予想している。
中銀のアミール・ヤロン総裁によると、ハマスとの戦闘による予算負担(支出増および収入減)は約2,100億シェケル(約8兆4,000億円、1シェケル=約40円)になると見込んでいる。さらに、戦闘終結後の国防費は年間で200億シェケル増加するとし、これにパレスチナ自治区のガザに隣接する地域社会の復興や利払い費の増加などが加わるため、増加額は年間約300億シェケルに達するとみている。
イスラエルの通貨シェケルは、前回2023年11月の金融政策決定(2023年11月29日記事参照)以降、対米ドルで2.7%、対ユーロで1.7%、名目実効為替レートで2%上昇したとしている。2023年11月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%減少したが、前年同月比では3.3%上昇と目標レンジ(1~3%)の上限を上回っている。2024年第4四半期のインフレ率は2.4%と予想している。
次回の政策金利決定は2024年2月26日に予定されている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(アンナ・ジュコブ、中溝丘)
(イスラエル)
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