イスラエル中銀、政策金利を据え置き、2023年と2024年のGDP成長率予測を2%へ下方修正
(イスラエル)
テルアビブ発
2023年11月29日
イスラエル中央銀行は11月27日に金融委員会会合を開催し、政策金利を4.75%に据え置くことを決定した。据え置きは7月(2023年7月13日記事参照)、9月(2023年9月14日記事参照)、10月(2023年10月25日記事参照)に続いて4会合連続となる。金融委員会は、イスラエルとハマスの軍事衝突が続く中で、「物価の安定と経済活動の支援とともに、市場の安定と不確実性の軽減に重点を置いている」と説明した。
中銀調査部は、マクロ経済見通しを10月に続き下方修正した。軍事衝突による経済への直接的な影響が続くという前提のもと、GDP成長率見通しは2023年、2024年ともに2%と、10月の予想からそれぞれ0.3ポイント、0.8ポイント下方修正した。また、軍事衝突による政府支出増加に伴う財政赤字の拡大により、財政赤字額は2023年にはGDP比3.7%、2024年には同5.0%に達するとし、2024年末の債務残高GDP比は66%になるとみている。
イスラエルの通貨シェケルは2023年の年初からの下落に加え、ハマスとの軍事衝突によって続落したが、その後は急回復し、前回10月の金融政策決定以降、シェケルは対米ドルで8.0%、対ユーロで5.3%、名目実効為替レートで6.4%上昇したとしている。中銀は10月9日、300億ドルを上限とする外国為替市場でのスワップ取引プログラムを発表し、10月に82億ドルを売却したとしている。
10月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇し、前年同月比では3.7%と目標レンジの上限を上回っている。2024年第4四半期のインフレ率は2.4%と予想している。
次回の政策金利決定は2024年1月1日に予定されている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。
(アンナ・ジュコブ、中溝丘)
(イスラエル)
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