米テスラがネバダ州のギガファクトリーで10%賃上げの報道
(米国、ドイツ、スウェーデン、デンマーク)
サンフランシスコ発
2023年12月28日
米国電気自動車(EV)大手テスラは、ネバダ州スパークスにあるギガファクトリーの定額時給労働者について、2024年1月初旬から時給を約10%上げると内部文書で通達したと、2023年12月18日に複数のメディアが報じた。
CNBCが入手した内部文書によると、これは生活費調整(COLA)のための賃上げで、ほとんどの時給労働者の時給は2~8.30ドル上昇する。具体的には、最も低い20ドルの時給は22ドルになり、最も高い30.65ドルの時給は34.50ドルとなる。全米自動車労働組合(UAW)の最近の動きと賃上げの関係に対し、CNBC、ロイターがテスラにコメントを求めたが回答はなかった。
デトロイト3〔ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス〕のUAW組合員は数週間にわたるストライキ後の11月に、過去最高の賃上げを勝ち取った(2023年11月21日記事参照)。その勢いでUAWは、テスラ、トヨタ、ホンダ、リビアンやルーシッドなどの自動車メーカーの15万人の非労働組合員に組合を組織するよう呼びかけるキャンペーンを開始している(関連ブラック ジャック ルール)。
テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は11月29日、「ニューヨーク・タイムズ」紙主催のディールブックサミットで、UAWの活動への質問に対し、「私は労働組合という考えに賛成しない。同じ社内で製造ライン労働者のグループとその他の従業員が敵対するような関係は好きではない」と述べ、「テスラでは製造ライン労働者がマネジメントのポジションを得ることもできるし、食堂も駐車場も同じだ」と述べた。もしテスラで労働組合が結成されたら、「それはわれわれが対応を誤り、そうならざるを得なくなったからだろう」と述べた。
また、11月6日付「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版によると、マスク氏がドイツ・ベルリン郊外のテスラのギガファクトリーを訪れた際、従業員への賃上げが発表されたという。同社は、この賃上げは工場の賃金見直しルーティンの一環で、労働組合活動との関係はないとしている。ドイツ最大の労働組合IGメタルは、欧州の大手自動車メーカーで唯一組合化されていないテスラの従業員の組合化を求めている。また、スウェーデンでは10月27日、テスラのサービスセンターの自動車整備士がIFメタル産業組合とともに団体交渉権を求めてストライキを行った。同国の配送業者は、テスラの輸入車の配送を遮断することで、テスラ従業員のストライキ支持を表明するとしている。
12月20日には、デンマークの港湾労働者とトラック運転手が、テスラ車の荷下ろしや配送を止めることで、スウェーデンでのストライキの支持を表明している。テスラは、スウェーデンでの自動車整備士の賃上げや他の待遇の向上を含めた団体交渉権の要求受け入れを拒否している(ロイター12月21日)。
(松井美樹)
(米国、ドイツ、スウェーデン、デンマーク)
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