英国、COP28で開発途上国の気候変動対応向け支援を発表
(英国、アジア、アフリカ、中南米)
ロンドン発
2023年12月14日
英国政府は12月4日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で最大4億8,400万ポンド(約871億円、1ポンド=約180円)を開発途上国に対し投資すると発表した。
具体的には、英国の外務・英連邦・開発省などが出資する民間インフラ開発グループ(PIDG)に対して3億9,100万ポンドを拠出し、低炭素で気候変動にレジリエントなインフラプロジェクトを支援する。また、政府系開発金融機関ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメント(BII)を通じて、総額5,500万ドル(4,400万ポンド)を拠出し南アジア、アフリカの気候変動対応プロジェクトを支援する。これはリシ・スナク首相が12月1日の演説で表明していたもの(2023年12月4日記事参照)。BIIの主なプロジェクトは次のとおり。
- 南アジアにおける温室効果ガス(GHG)排出削減や廃棄物発電に投資するファンドに対して、2,500万ドルを投資。
- シエラレオネ初の大規模独立太陽光発電所を営むプラネット・ソーラーに980万ドルを投資。
- ケニアの小規模農家の気候変動に対するレジリエンスと所得の向上に向けた太陽光発電を用いた灌漑システムの提供に対し210万ドルを投資。新たな電気自動車製造産業の確立のため、地元での電動バス組み立ての規模拡大に向け500万ドルを借入金融として供与。
アンドリュー・ミッチェル外務・英連邦・開発省国務相も12月2日、気候変動に対して脆弱(ぜいじゃく)な層への適応支援に向け1億ポンドを提供することを発表した。英国政府は12月3日、気候変動安全保障に関するパネルディスカッションも主催した。政府によれば、同種のイベントを英国が主催するのは初めて。
また、英国輸出信用保証局(UKEF)は、セネガルとガイアナの2カ国との新規ならびに既存融資契約に対し、気候(変動)にレジリエントな債務条項(CRDCs、2022年11月17日記事、2023年6月29日記事参照)を盛り込むことで合意した。政府はバルバドス政府とともに、全ての債権国に対して2025年末までのCRDCsの採用を求めている。フランス、世界銀行もCRDCsの利用を拡大するとしている。UKEFはさらに、デンマーク、スウェーデン、カナダの輸出信用機関と共に、輸出信用を通じネットゼロ達成を支援するアライアンスの立ち上げを発表した。
英国政府は12月5日にも、アフリカ、アジア、中南米諸国のクリーンエネルギーへの移行を支援するため、1億4,000万ポンドを拠出することを発表している。
(チャウジュリー・クリシュナ)
(英国、アジア、アフリカ、中南米)
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