オースティン米国防長官がイスラエルを訪問、紅海の航行の自由確保へ多国間イニシアチブ創設

(米国、イスラエル、パレスチナ、イエメン、英国、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セーシェル、スペイン)

テルアビブ発

2023年12月19日

米国のロイド・オースティン国防長官は12月18日にイスラエルを訪問し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアフ・ギャラント国防相、戦争内閣の閣僚らと会談を行った。オースティン長官にとって国防長官として4回目のイスラエル訪問で、10月7日のハマスによる攻撃以降では2回目となる。

米国防総省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、オースティン長官はイスラエル指導者らとの会談で、テロに対するイスラエルの自衛権について米国の揺るぎないコミットメントをあらためて表明する一方で、ハマスの軍事インフラを解体する作戦の進展について協議し、作戦の次の段階への移行計画を促したとしている。

イスラエル首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ネタニヤフ首相は会談の冒頭で、「これはイランのテロ枢軸との戦いであり、イランは現在、(アラビア半島南西端とアフリカ大陸との間にある)バブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖しようとしている。これは全世界の航行の自由を脅かすものだ。その海峡を開くために(米国が)行動を起こしていることに感謝する。それは、文明社会全体の利益だと思う」と述べた。

オースティン長官は「われわれはイスラエルに対し、重要な弾薬、戦術車両、防空システムなど、防衛するために必要な装備を提供し続ける」と述べる一方で、「ガザに住む200万人近い避難民に、より多くの人道支援を届けなければならないし、その支援をより適切に分配しなければならない」と指摘した。

また、米国防総省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、オースティン長官はギャラント国防相との会談後の共同記者会見で、「私たちは作戦の状況、目標と目的、戦闘地域での民間人への被害を軽減する方法、そしてガザへの人道支援の持続的な流れを確保する必要性について議論を交わした」とし、「高強度の作戦から低強度でより外科手術的な(標的を絞った)作戦に移行する方法について、活発に議論を行った」ことを明らかにした。

紅海の航行の自由を確保する多国間安全保障イニシアチブを創設

イエメンの武装組織フーシ派による紅海を航行中の商船への攻撃が増加していることを受けて、オースティン長官は12月18日、紅海の安全保障に重点を置く米軍主導の連合海上部隊が設置した多国籍部隊である第153連合任務部隊統合の傘下に、多国間安全保障イニシアチブである「繁栄の守護者作戦」の創設を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同作戦は、英国、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セーシェル、スペインを含む複数の国で構成され、紅海南部とアデン湾における安全保障上の課題に共同で取り組み、全ての国の航行の自由を確保し、地域の安全と繁栄を強化することを目的としている。

フーシ派は、11月19日の、日本企業が運航している貨物船の拿捕(だほ)(2023年11月20日記事参照)を皮切りに商船への攻撃を繰り返しており、英国大手石油会社のBPは12月18日、「紅海における海運の安全状況が悪化していることから、BPは紅海を経由するすべての航行を一時停止することを決定した」と発表した(ロイター12月18日)。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

(中溝丘)

(米国、イスラエル、パレスチナ、イエメン、英国、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セーシェル、スペイン)

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