中銀、政策金利を7.75%へ引き上げ

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年11月28日

バングラデシュ中央銀行は11月26日、政策金利(レポレート)を7.25%から7.75%へ引き上げた。併せて、2023年7月から導入している金利コリドーシステム(2023年8月4日付地域・分析レポート参照)の上限金利(Standing lending Facility:SLF)を9.25%から9.75%、下限(Standing deposit facility:SDF)を5.25%から5.75%に引き上げた。政策金利の引き上げは2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)で10月に続き2回目で、年度当初(6.5%)から1.25ポイントの上昇となる。「SMART(Six-months Moving Average Rate of Treasury bills)」制度に基づいて中銀が定める参考貸出金利は7.43%となっている。

同国では、食品セクターを中心にインフレ率の高止まり傾向がみられる中()、政府は2023/2024年度のインフレ目標(6.0%)を変更しておらず、政策金利の引き上げは金融市場の資金流動性をさらに抑制し、インフレ上昇にブレーキをかけることが目的と報じられている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙11月26日)。

同国の経済や政策分析を専門とする民間シンクタンクのバングラデシュ政策研究所(PRI:Policy Research Institute of Bangladesh)のエグゼクティブダイレクターで、IMFなどで要職を歴任したアーサン・モンスール氏は直近の情勢に関して、「政策実行の停滞により、総選挙(2024年1月7日)までにインフレ圧力が緩和し、経済活動が加速化する可能性は低いだろう」と述べ、事態が沈静化した後には中銀が表明している為替制度改革の実行などが必要な中、外貨準備高(注)は160億ドルから180億ドルの間で停滞する可能性があるとの見方を示している(「フィナンシャル・エキスプレス」紙11月22日)。

(注)減少傾向の外貨準備高(IMF基準のグロス値)は195億2,392万ドル(11月22日現在PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))で、前月(2023年10月23日記事参照)との比較では約14億ドル減少している。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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