中国系ネクスペリアの英国半導体工場、米企業が株式を取得
(英国、米国、オランダ、中国)
ロンドン発
2023年11月16日
在オランダの中国系半導体メーカー、ネクスペリアは11月8日、英国ウェールズの半導体工場ニューポート・ウエハー・ファブの株式を、米同業ビシェイ・インターテクノロジーに売却することで合意したと発表した。今回の取引ではネクスペリアが保有する工場の資本の86%を売却、取引金額は1億7,700万ドルにのぼる。今後、取引に関する政府の検討などを経たのち、2024年3月末までに実施される予定。
ネクスペリアは2021年7月に同工場の資本の86%を追加取得し、100%所有していたが、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略相(当時)は2022年11月に国家安全保障の懸念を理由に、「国家安全保障・投資法」に基づき追加取得分の売却命令を発表していた(2022年12月6日記事参照)。
同工場は28エーカー(約11万平方メートル)の敷地を有し、主に自動車向けの半導体ウエハーを供給する国内最大規模の半導体工場。約580人の従業員を雇用しているが、現在100人を削減する計画が進行中と報じられている(「BBCニュース」11月8日)。
「国家安全保障・投資法」の意見公募を実施、企業の負担減を目指す
英国政府は11月13日、「国家安全保障・投資法」の改正を検討するため、意見公募を行うと発表した。同法は、国家安全保障にかかわる17分野における外国企業の合併・買収などについて、政府による調査・介入を強化するもの。
今後も、少数の安全保障に害を及ぼす可能性のある取引から英国を保護する一方で、対象を絞り、企業や投資家にかかる負担を最小限に抑えつつ、ビジネスを円滑に行うために必要な整備を行うとしている。
具体的には、通知義務の対象となる場合の例外措置の導入検討、通知義務が課される国家安全保障にかかわるとされる分野、通知と査定プロセスなどの見直しを行うとしている(詳細は英国政府ウェブサイト参照)。
意見公募の期間は2023年11月13日から2024年1月15日までとされている。
(松丸晴香)
(英国、米国、オランダ、中国)
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