財務省が2024年予算案を発表、高所得者層を中心に増税
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年10月23日
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相兼財務相は10月13日、2024年(2024年1月1日~12月31日)の国家予算案を下院に提出した。アンワル政権が予算案を提出するのは、2023年修正予算案(オンライン カジノ ブラック)に次いで2回目だが、新規の年度予算案策定は今回が初めて。予算案は12月12日まで審議される。
歳出規模は、2023年の実績見込み比で0.8%減の3,938億リンギ(約12兆3,653億円、1リンギ=約31.4円)で、当初予算時点の歳出額としては過去最高を更新した(添付資料表参照)。開発支出は900億リンギと過去最高水準で、前年度に次ぐ規模。項目別では、「運輸」が8.9%増と最大で、これに「教育・研修」が5.2%増で続いた。歳入は1.5%増の3,076億リンギとした。
同日発表した経済見通しでは、2023年の実質GDP成長率を4.0%、2024年は4.0~5.0%と見込んだ。2023年の成長率については、2月の修正予算案発表時の見通し(4.5%)から下方修正した。2023年のインフレ率は2.5~3.0%と予測した。
予算案のテーマは「経済改革と国民のエンパワーメント」で、サービス向上のためのガバナンス改善、成長を加速させる経済改革、国民生活の水準向上に注力する。第12次マレーシア計画(関連ブラック ジャック ランキング)や、新産業マスタープラン(NIMP)2030(新産業マスタープラン2030、ブラック)などに沿って、高付加価値産業の育成を継続強化する。
税制改正案では、サービス税率の6%から8%への引き上げ(2024年3月1日から、ただし、飲食や通信、駐車場、物流サービスは対象外)、高級ブランド品などを対象とした高額物品税導入(5~10%、時期未定)や、非上場企業株売却に対するキャピタルゲイン課税(売却益の10%、2024年3月1日から)、グローバルミニマム課税(2025年から)を導入する方針だ。電子インボイスについては、年間売上高1億リンギ以上の企業を対象に、2024年8月から義務化する。
複数メディアの報道によると、複数の増税措置が盛り込まれるものの、可処分所得の高い層への課税を中心に実施し、低所得者への影響を抑えるよう配慮したと評される。現地で取り沙汰されていた消費税(GST)の導入も見送った。
再投資控除の導入や環境技術に対する優遇税制延期も
企業活動に対する優遇措置としては、「グローバルサービス・ハブ(GSH)」に対する税制優遇を盛り込んだ。従来のプリンシパル・ハブ・インセンティブ(注)は2022年末で申請を打ち切っていたが、地域統括拠点としての競争力向上などを主眼に、GSHに対する最長10年の所得税免税を供与する。また、15年間の再投資控除の適用期間が終了した製造業と農業関連企業に対して、事業を拡大する場合に70%または100%の投資控除が受けられるよう提案した。この再投資控除は2028年末までの時限措置となる予定だ。
脱炭素分野ではまた、マレーシア証券取引所(ブルサ・マレーシア)運営のボランタリー・クレジット市場(ブルサ・カーボン・エクスチェンジ)で取引される排出権を売却した企業に対し、最大30万リンギまでの排出量測定・報告・検証費用を2024年~2026年に売り上げから控除する。グリーン投資税控除(GITA)とグリーン所得税控除(GITE)の申請期限を2023年末から2026年末まで延長し、対象となる適格活動も脱炭素の分野に応じて詳細に規定している。
(注)統括拠点をマレーシアに置く企業で政府の認定を受けた場合、法人税の減免が適用される制度(マレーシア「外資に関する奨励」参照)。
(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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