デング熱感染者、2000年以降で最大規模、8月単月で前年合計数を上回る
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年09月05日
バングラデシュで、デング熱の感染が止まらない(2023年8月2日記事参照)。保健省の統計によると、8月単月の感染数は7万1,976人で、2022年全体の感染者数6万2,382人を超えた。死者数は342人で、前年全体の死者数281人を超えている。2023年1月から8月末までの感染者総数は12万3,808人、死者総数は593人となっている。
世界保健機関(WHO)のレポートは、2023年は雨季の開始の遅れと高い気温、湿度が例年にも増して蚊の発生を助長しているとし、過去5年で最高レベルだと指摘する。また、8月上旬までの各年の感染者数を比較すると、2000年以降で最大規模としている。
デング熱のワクチンはバングラデシュでは認可されておらず、国内のデング熱のリスクは、急速な感染者数と死者数の増加で「高リスク」と評価されている。そのため、デング熱の入院者数の増加により、医療機関の対応キャパシティーに逼迫が見られている。
WHOは、デング熱感染に対する特定の治療方法が確立されていないため、早期発見と医療機関への受診が死亡率を下げるとも指摘する。
デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介して感染する。最近では在留邦人などの感染事例も増加している。感染対策としては、日中や外出時には長袖や長ズボンなどを着用することで肌の露出を控え、虫除けスプレーを使用し、蚊に刺されないことが重要となる。就寝時には蚊帳を利用し、蚊に刺されないように対策を取る必要がある。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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