中国は炭素国境調整メカニズム(CBAM)に批判的な見方、WTO規則の順守を求める

(中国、EU)

北京発

2023年09月29日

EUによる炭素国境調整メカニズム(CBAM)に対し、中国は一貫して批判的な見方を示している。

CBAMの設置に関する規則案(注1)が2021年7月14日に発表された後、中国は7月26日の生態環境部の定例記者会見で「気候問題を無原則に貿易分野に拡大するもの」として批判した。その上で、CBAMはWTO規則に反し「国連気候変動枠組み条約」「パリ協定」の原則にも一致せず、特に「共通だが差異ある責任」(注2)や「国が決定する貢献(NDC)」(注3)に背き、一国主義や保護主義を助長するものだとした。

中国はWTOなどを通じ、開発途上国も巻き込んだうえで意見を発信している。2023年3月にはWTOの貿易と環境に関する委員会において、CBAMに関する討議を求めた。中国の提案は、ノルウェー、フィリピン、シンガポール、インド、ブラジルなどから建設的なものと評価されたとしている。6月には同委員会に対し、CBAMの実施に当たりどのように公平性・合理性を確保するか、開発途上国への影響を回避するかなどにつき、実写 版 ブラック ジャック共有と交流を行うことを提案した。

中国商務部は7月13日の記者会見で、多くのWTO加盟国はCBAMに対し懸念を有していると指摘した。そして、EUは実施規則の制定過程において十分な討論の時間を取り、加盟国の利益に関する懸念と意見を十分に考慮し、WTO規則に適合させるべきだとした。

さらに商務部は、8月7日に開催された第13回BRICS貿易担当相会議の成果として、参加国がCBAMを「一方的で差別的な措置」で、グローバルサプライチェーンの寸断をもたらすものと批判的立場で協調したことを挙げた。9月14日の記者会見では、10月1日からCBAMの移行期間となることにつき(注4)、関連政策はWTOの基本原則とルールを順守すべきとした。

EUとのバイラテラルの対話でもCBAMに言及している。7月4日に行われた丁薛祥副首相と欧州委員会(EC)のフランス・ティーマーマンス執行副委員長(当時)による、第4回中国・EU環境・気候ハイレベル対話において、「CBAMについての対話実施に同意した」としている。

9月25日の何立峰副首相とECのバルディス・ドムブロウスキス上級副委員長兼貿易担当欧州委員による第10回中国・EU経済貿易ハイレベル対話(注5)でも、CBAMに関する双方の見方につき意見交換したとしている。

(注1)詳細は

(注2)地球温暖化への責任は全世界共通であるものの、歴史的な排出量などを考慮すると、先進国の責任がより大きいため、開発途上国と差異があるという考え方。

(注3)パリ協定に基づいて各国により作成される、温室効果ガス削減に向けた方針を示したもの。

(注4)詳細は2023年8月23日記事参照

(注5)詳細は

(河野円洋)

(中国、EU)

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